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軽快なリズム、伸びやかな声… 曲を追いかけて@ルサカ

写真:ルサカのCD店にあったので、つい買ってしまった。聴く手立てがないのだけれど……拡大ルサカのCD店にあったので、つい買ってしまった。聴く手立てがないのだけれど……

 ザンビアに来ていきなり閑話休題で申し訳ない。もっとも、全編が閑話休題のようなものだけれど。

 アフリカの国々をめぐって8カ月になろうとしている。ザンビアが22カ国目になる。これまで何度か音楽について書いた。ソマリアでイスラム武装勢力によって禁止された音楽、反戦平和を歌う南スーダンの歌手、ナイジェリアのKONGA、ザンジバルのターラブの不思議な調べ。

 正直なところ、全部アタマで聴いてきた。楽しんでいなかった。自然に体に入ってくるアフリカの音楽に接していない。もちろん、それは感じる側の問題が大きいのだと思う。

 3日のことだ。世界遺産の岩絵を見てリロングウェのホテルに戻り、部屋でその原稿を書いていた。ちょうど部屋の窓の外がホテルのバーになっていて、音楽がずっとかかっていた。

 「働いている人もいるんだよ、まったく」と思っていた。ところが、途中にかかった曲がどうにも耳から消えなくなった。アフリカっぽいテンポのいい軽快な曲はこびと味わいのあるリフレイン、伸びやかな声。たぶん初めて聴くけれど、どこか懐かしくもある。

 原稿がひと区切りした時、バーに行って「さっきかかったのはだれの曲?」と尋ねた。「実は僕は歌手で、僕の曲もかけた」という。いや、申し訳ないけど君の曲じゃない。女性の声だったから。

 ZAHARA(ザハーラ)という南アフリカの歌手のアルバムをかけたという。バーの男性は自分の曲のCDを手に話すので、何だかさらに聞くのは申し訳なくなって切り上げた。

 耳の奥で、曲がリフレインしていた。

 翌日の4日にザンビアに向かった。飛行機に乗る前にもう1本、原稿を書いて、さてザンビアで何をしようか切り替えようとしたけれど、やはり耳の奥で曲が鳴る。ルサカに着くや、仕事をさぼってザハーラについて調べた。ネットサーフィンしただけだけど。

 2011年にデビューした25歳で、南アフリカの公用語の一つ、コーサ語で歌う。最初のアルバム「LOLIWE(ロリウェ)」が記録的なヒットとなり、数々の賞を受賞した、その年の暮れには体調を崩したマンデラさんの部屋で歌を披露している。歌もアパルトヘイトなどを題材にしているようだ。

 ネット環境がよくなく、ユーチューブでやっと探し当てた曲が「XA BENDINGENA MAMA」だった。「たとえ私のことが嫌いでも」というような意味らしい。

 ネットに曲の感想が寄せられているのを見たら、不当な扱いを受けた孤児が、村を捨てて都会に消えてしまいたいという歌詞のようだ。軽快で楽しげだと思ったこの耳は、やはり信用できなかった。

 まともなセンスのない人間が色々書いても仕方がない。ぜひ、ネットで聴いてください。こういう生煮え原稿は新聞では許されないけど、ネットの試みということで甘えてしまおう。

 というわけで、アフリカで「出あった」歌を追いかけて1日が終わった。ユーチューブがブチブチ切れるので曲を通して聴いてもいない。あす何をするかも、もちろん決まっていない。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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