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11月14日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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国境線がもたらした歴史と呪縛 @ルサカ

写真:キトウェの火力発電所拡大キトウェの火力発電所

写真:チャンビシの銅精錬所拡大チャンビシの銅精錬所

写真:タンザニアとザンビアをつなぐタンザン鉄道。1970年代に中国が建設した=いずれも江木慎吾撮影拡大タンザニアとザンビアをつなぐタンザン鉄道。1970年代に中国が建設した=いずれも江木慎吾撮影

 毎日動いて、その日のうちに原稿を書いて、という暮らしを続けていると、だんだんものの見方が平板になって、ささいなことでイライラし始める。そうなると、寅さん流にいえばそろそろ柴又が恋しくなる。まあ、ここには故郷がないのでナイロビで一息つくということになるけれど、だいたい2週間でその時期が訪れる。

 今回、マラウイとザンビアでそれぞれ、国立博物館に行ってみた。ザンビアの場合は博物館と美術館が一体になっていた。ネットなどで事前に調べると「行っても見るべきものは何もない」と、しんらつなことが書いてあった。

 実際に行ってみるとその通りで、あまり見てなるほど、よかったということはない。でも、そこで当たり前のことに改めて気づく。石器時代の展示と、植民地支配までの間が、すっぽり抜けている。

 アフリカの多くの地域は、欧州に「発見」されるまで強力な中央集権国家をつくらず文字も持たずに悠久の暮らしを続けてきたわけで、文書や物でたどることのできる歴史があまり残されていない。ジンバブエのグレート・ジンバブエ遺跡などの構築物や、各地の岩絵群などを除いては。

 そのことに思い至るだけでも、行く価値はあったのかもしれないと思う。そして、欧州の国々によって引かれた国境線にいまも悩まされ、植民地時代に築かれた経済基盤の呪縛から抜け出そうとしている国に接すると、国とは何だろうと考え込んでしまう。そこに住む人を守り、幸せにする仕組みではないのだろうかと。

 マラウイ湖をめぐるマラウイ、タンザニアのいさかいにせよ、故国を追われたジェームズ・チャンスさんのさすらいにせよ、国境線を引かれて支配された過去がなお作用しているように思える。白人農場主を追い出すことが引き金となったジンバブエの低迷とザンビアの浮揚も、植民地支配の清算の皮肉な結果ともいえる。

 さて、今回もマラウイは1800キロほど、ザンビアは1500キロほどを車で走った。ザンビアの道路にも、警察の検問所が数多く設けられていた。でも、タンザニアやマラウイと違ってスピードガンのわなは仕掛けられていない。だからかもしれないが、マラウイに比べれば運転はかなり荒っぽかった。対面交通の道を120キロで走っていて楽々追い抜いてゆく車が少なくない。

 世界的な銅鉱床として知られるコッパーベルトはザンビアとコンゴ(旧ザイール)にまたがる。コンゴ方面に向かう大型トラック、南へ向かう大型トラックが行き交う。

 コッパーベルト州では国内最大の銅鉱山の開発も進んでいて、これからの発展が期待されている。ンドラからはナイロビやヨハネスブルクなどへ毎日、直行便が飛んでいる。ンドラからナイロビに戻ることにすればよかったと後悔した。

 ネット環境に問題はなく、いつもの通りモデムとワイファイのいずれかで常にネット接続できた。寒いせいか、蚊はいたけれど少なかった。

江木慎吾

プロフィール江木 慎吾(えぎ・しんご)

61年生まれ。社会部をへて00年代、ナイロビ、ニューヨーク支局に勤務。バルカン半島、中東、アフリカ各地の紛争取材を経験しつつ、小心さは変わらない。動作が緩慢でのんきに見えるが、気は短い。趣味は散歩。しばしば二日酔い。だめトラファン。

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