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(ソーシャルA)「準備ないまま選挙権」小野耕二さん

 博報堂生活総合研究所の「生活定点2012」によると、20代の「関心のある情報」として「政治」が増えている。その傾向は男性に顕著で、14年間で14・6ポイント増となった。

 政治学者で名古屋大教授の小野耕二さん(62)は「ネット上では、政治について若者の意見が飛び交うことも多い。一次的に意見を持つ、という意味では感心は高まっている」と分析する。

 ただ異なった意見への攻撃が目立ち、民主主義での政治に必要な「討論する」段階には至ってないとも指摘する。「民主主義では何が正しいかを決める、絶対的な基準はない。その代わりに討論しながら、暫定的な『正しい』を見つけていく政治メカニズムが必要」だという。

 関心が高まる一方で、実際の選挙では投票率が下がる傾向にある。なぜなのか。

 小野さんによると、他者の意見を聞き入れないことは、投票への無関心につながっているとする。投票も自分の意見を表明するだけでなく、他者と意見を突き合わせることだからだ。

 一方で「投票すれば結果にも興味が出る。なぜそうなったのか、他者の意見を考えるきっかけにもなる」と話す。ひとまず投票にいく流れができれば、討論する姿勢は自然に養われる、というわけだ。

 こうした分析を踏まえ、若者の投票率アップへの施策はあるのか。小野さんは、学校での主権者教育の重要性を挙げる。「現状は政治といっても選挙などのシステムを学ぶだけ。政党の方針など具体的な知識はなく、20歳の段階で、投票する準備ができていない」

 例えば「自分に合った候補者がいない」といって投票に行かない人も、知識があれば、変わり得るという。「冷蔵庫でも結婚相手でも、ぴったり合うなんてあり得ない。知識がつけば、自分が一番こだわる場所がわかって、選ぶことができる」

 ドイツでは、学校教育の一環として、実践的な政治教育が定着。議員事務所の訪問や模擬討論会で議員役として政策を発表するなどの経験を通して、その後の政治参加にも成果をあげているという。

 「政治は、関与しなくても、その人抜きで決められ、社会の制度設計がなされてしまうもの」と小野さん。世代別に偏った利益構造にしないためにも、「若者の投票への自発的な行動を待てない状況にある」という。

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