2011年2月24日5時5分
クライストチャーチ市内の語学学校で被災し、23日朝に救出された奥田建人さん(19)の母親=富山市=は、ベッドの上で少しこわばった笑みを浮かべてピースサインをつくる息子の写真を見て、目に涙を浮かべた。「建人らしい。私たちを心配させないようにポーズを取ったんだと思います」
奥田さんの写真は、現地入りした朝日新聞の記者が撮影し、23日付夕刊などに掲載された。ベッドに寝たまま、左手でピースサインをしている。
奥田さんから兄の携帯電話に連絡があったのは、22日午前9時半ごろ。がれきに足を挟まれている様子で「兄ちゃん助けて」「真っ暗で挟まっている」と訴えた。母親は23日午前5時半ごろ、本人からの電話で右足が切断されたと知り、言葉を失ったという。
奥田さんは、県立富山北部高校のサッカー部でキャプテンだった。知り合いの保護者から心配する電話やメールがたくさん来ており、家族の心の支えになっているという。
富山外国語専門学校の同級生には、安否が確認されていない人も多い。母親は「同じ親として、うちの子が見つかったことは素直に喜べない。建人のこれからが心配だけど、とにかく温かく迎えたい」と話した。(久永隆一)