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核兵器溶かせば「平和の卵」 長崎の鋳物会社、美術品に

2011年8月7日14時11分

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写真拡大ロシア軍の兵器から生まれ変わった卵のオブジェ=マット・テイラーさん提供

写真拡大基金の略称や通し番号があるステンレスの塊を手にする原田功さん=1日、長崎県諫早市、江崎写す

 核弾頭を搭載可能なロシア軍の弾道ミサイルや原子力潜水艦に使われていたステンレスが、被爆地・長崎で溶解処理され、平和を願う卵形のオブジェに生まれ変わった。核兵器の解体に取り組むNGO(非政府組織)の依頼を、被爆2世が社長を務める鋳物メーカーが引き受けた。8日夕方と9日、長崎市寺町の晧台(こうたい)寺で展示される。

 「ロシア軍の兵器を溶かしてもらえませんか」

 7月11日午後、長崎県諫早市の鋳物メーカー「峯陽(ほうよう)」の原田功社長(61)に、米サンフランシスコを拠点にするNGO「世界核兵器解体基金」から、いきなり電話があった。

 日本語が達者なマット・テイラー代表は、自分たちが核軍縮に取り組むNGOであること、兵器のスクラップを溶かして再生してくれる会社を探していることなどを説明した。

 同基金はロシアの核兵器解体に資金協力をしている。大陸間弾道ミサイル(ICBM)や原潜を解体して出る金属のうち、放射能を帯びていないものを民間で生まれ変わらせる計画を立て、実行の場に選んだのが被爆地・長崎だった。

 原田社長は両親が長崎市内で被爆した。自身も児童約1300人が原爆の犠牲となった同市立山里小学校(旧・山里国民学校)で学んだ。突然の電話には驚いたが、「平和のために、お手伝いできるなら協力したい」。無料で引き受けた。

 ロシアからはステンレス部品10トンが長崎港へ到着。同月22日、まず400キロを峯陽の電気炉で溶解し、長さ50センチ、重さ約9キロの金属塊(インゴット)21本と卵のオブジェにした。卵は重さ約8.3キロある。

 卵の制作は原田さんの提案だった。「これまで自分は平和のために具体的な行動を何もしてこなかったが、兵器を解体して生まれ変わらせる仕事にかかわれた。卵は再生する平和の象徴だと思った」

 インゴットは展示後、アクセサリーなどに加工される。その販売収益は、さらなる核兵器解体への資金となるという。(江崎憲一)

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