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「被爆アオギリ」米国へ 歌手の中村さん、歌と共に植樹

2010年8月26日15時0分

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写真「被爆アオギリ」の苗の傍らで歌う中村里美さん=東京都新宿区、川村直子撮影

 広島の原爆で焼けただれながらも新芽を出した「被爆アオギリ」が米国に渡る。被爆者の思いを伝え続ける東京都町田市のシンガー・ソングライター中村里美さん(46)がこの秋、被爆アオギリの種から育った2世と3世の苗木計3本をワシントンDCにあるカーネギー地球物理学研究所の庭に植える。植樹の際には、ゆかりの歌も披露する。

 中村さんは「私のヒロシマ・ナガサキ」と題するライブを昨年6月に始めた。被爆者たちの「世界中のだれにも自分と同じ苦しみをさせたくない」という願いを伝えようと、歌と朗読、語りで構成する。頼まれればどこへでも出かけ、自分で育てた被爆アオギリの苗を持参して、現地に植樹している。自宅の庭で育つ苗木を見ながら書いた詩に、曲をつけてもらったオリジナルの「アオギリにたくして」も昨年暮れに完成した。

 昨夏、知人で、大阪大学教授からカーネギー地球物理学研究所の上級招聘(しょうへい)研究員に転じた山中高光さん(68)に話したところ、山中さんが研究所への植樹を持ちかけた。

 被爆アオギリは、被爆して左足を切断、婚約者も戦争で失い、絶望の縁にあった広島市の沼田鈴子さん(87)が、新芽が出た姿を見て生きる勇気を与えられたと語り続けていることで知られる。「アオギリの苗を世界に広め、平和の大切さ、命の尊さを伝えてほしい」という沼田さんの願いを多くの人に届けたいと活動を続ける中村さんにとって、願ってもない話だった。

 山中さんによると、研究所長も快諾し、記念の銅製プレートを用意したいと話しているという。「オバマ大統領のプラハ演説もあったし、時宜を得た企画ではないかと協力を申し出た」と山中さん。植樹の際のほかにも、ライブができないか検討中だ。

 中村さんは「米国は原爆を落とした国。こんなチャンスを与えてもらって感謝したい。被爆者が次々に亡くなっている中で、心をこめて思いを伝えたい」と話す。歌う曲や朗読する被爆体験などの翻訳はほぼ終了。この夏は国内ライブを重ねる一方で、英語で歌い、語る練習に励んでいる。(編集委員・大久保真紀)

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