日本テレビのプロデューサーによる「視聴率買収問題」で、プロデューサーから昨年、視聴率のモニター世帯割り出しを依頼された埼玉県内の調査会社が5日、朝日新聞の取材に応じ、調査費として現金計200万円を直接プロデューサーから受け取ったと語った。プロデューサーは、ビデオリサーチの車のナンバーを入手済みで、これを示して尾行を依頼したという。
調査会社によると昨年7月中旬、プロデューサーから電話で尾行調査の問い合わせがあり、調査員が東京都千代田区の日本テレビ近くの喫茶店に出向いた。プロデューサーから車数台分のナンバーを記したメモを渡され「車の訪問先を割り出して欲しい」と依頼され、手付金として現金10万円を受けとった。尾行の出発地点として指示されたのが東京都中央区のビデオリサーチ本社だった。
1世帯を割り出すと、さらに9世帯分として現金90万円を前金で受け取った。本人あてに領収書を出したという。プロデューサーは日本テレビの名刺を使ったという。
2週間ほど毎日調査活動を続けたが、8月初めにビデオリサーチに尾行を気づかれ、週1、2回のペースに落とした。尾行には車1台を使ったと話した。ビデオリサーチは複数の車に尾行されたとしている。
10世帯分の割り出しに成功すると、11月にさらに10世帯分を割り出す契約を結び、現金100万円を受け取った。しかし、12月にビデオリサーチから抗議文書が届いたため、数件の割り出しに成功した時点でプロデューサーと相談して調査を中止した。
プロデューサーは今年2月までたびたび電話で、調査続行を打診してきたという。
調査会社の担当者は「まさか視聴率操作のための尾行だとは思わなかった。コストと見合わない仕事だった」と話した。
日本テレビ広報部は「調査委員会にすべてをお任せしており、コメントする立場にはありません」と話している。
(11/06 15:14)
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