米国のプリチャード元朝鮮半島和平協議担当特使ら訪朝団5人は6日午後、北京から空路で平壌に入った。新華社電が伝えた。10日まで滞在し、寧辺(ヨンビョン)の核施設の視察も予定している。北朝鮮による訪朝団の受け入れは、「核抑止力強化」と「対話による解決」という硬軟の主張を使い分けつつ、米国の譲歩を引き出そうとする布石と見られる。
朝鮮中央通信は6日、「米国が核問題の解決に真に関心があるなら、6者会談を続けるための核心事項である我々の行動措置案を受け入れられない理由はない」と改めて強調した。
昨年8月の6者協議以来、北朝鮮は「核放棄」と「安全の保証」をセットにした米朝の同時行動原則による一括妥結を訴えてきた。12月上旬からは、その第1段階の措置の合意を繰り返し求めている。
北朝鮮は昨年10月下旬にも、米国の下院議員訪問団の受け入れを計画した。「再処理完了とその過程で得たプルトニウムの用途変更状況を現地で見せる方向で、日程を準備していた」(10月26日の朝鮮中央通信)という。しかし、米政府の反対で実現しなかった。
北朝鮮は、ブッシュ政権が今回の訪朝を認めたことに注目しているようだ。
北京の北朝鮮消息筋は「米朝間に新たな対話のチャンネルが生まれることになる。核問題を機械に例えると、始動し始めたと言えるのではないか」との見方を示した。
一方、北朝鮮は日本にも外交攻勢をかけ始めている。昨年12月、北朝鮮高官が北京で日本の「拉致議連」幹部と拉致被害者家族の帰国をテーマに会談した。6日の労働新聞は「日本は新年には、対朝鮮敵視一辺倒の政策から大胆に脱却し、朝日関係改善への新たな一歩を踏み出すべきだ」と呼びかけた。
北朝鮮は一昨年夏から経済改革に取り組んでいる。一部に市場経済システムを取り入れ、民間の商業活動なども徐々に活発化しているとも伝えられるが、核問題が大きな壁となり、外資導入は進まない。こうした中で、北朝鮮は今回の訪朝団受け入れで、米朝関係や日朝関係の改善の糸口を探ろうとしているようだ。
(01/06 21:40)
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