北朝鮮・寧辺(ヨンビョン)の核施設を視察した米国の専門家らが、貯蔵庫から使用済み核燃料棒が運び出されていたと米政府に報告していたことが13日、明らかになった。昨年来、米国の偵察衛星が核施設の周辺でトラックの活発な動きを探知、再処理のため核燃料棒は移されたとの見方が強まっていたが、事実とすれば米政府の強硬派が反発し、6者協議の行方に影響を与える公算が大きい。
米政府筋によると、核の専門家や米議会スタッフらでつくる訪朝団は、平壌からの帰途に立ち寄った北京の米大使館から米国務省に視察結果を報告。その際、アルミ缶に密閉して貯蔵庫のプール内に保管されていた核燃料棒が「運び出されていた」と伝えた。
ただし、盗聴防止装置つきの電話での短時間のやりとりでは詳細を詰めきれなかったことから、米政府は訪朝団からじかに報告を聞くまで、その真偽や搬出の規模などをめぐる最終的な判断を保留しているという。国務省によると、プリチャード元朝鮮半島和平協議担当特使は14日、同省に視察結果を報告するほか、訪朝団の一部は20日に米上院外交委員会の公聴会で証言する。
北朝鮮は昨年7月、94年の米朝枠組み合意に基づいて密閉・保管されていた核燃料棒8千本すべての再処理を完了したと米国に通告している。しかし、再処理にともなって発生する放射性ガスのクリプトン85が北朝鮮の周辺からまとまって検知されていないなど物証に乏しいことなどから、この通告やトラックの動きは威嚇や陽動作戦との見方も根強い。
(01/15 01:00)
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