米政府は、北朝鮮が核開発計画の放棄に応じた場合にそなえて、国連安全保障理事会の常任理事国、日韓両国、国際原子力機関(IAEA)による検証体制の構築に乗り出した。北朝鮮は放棄する姿勢を見せていないが、国際的な新たな枠組みづくりを進めることで、次回の6者協議で北朝鮮への圧力を強める狙いもある。一方、米政府内でも専門家グループが核解体を具体的に検証する方法について検討を始めた。
北朝鮮の核問題をめぐる6者協議では「朝鮮半島の非核化」が焦点。米政府は北朝鮮に核開発計画の全面放棄を迫るが、北朝鮮は自国の「安全の保証」を求め、平行線をたどっている。
米政府がめざす新たな体制は、常任理事国の米英仏中ロ5カ国に、6者協議に参加する日韓両国、さらにIAEAが加わる「7カ国プラス1国際機関」。米政府高官は朝日新聞の取材に対し、この体制づくりに水面下で着手していることを認め、「すでに他の常任理事国と議論している」と語った。
同高官は「北朝鮮の核問題では常任理事会が役割を担うべきだ、という考えで一致している」とも述べ、理事国間で基本的な「合意」を得ていると説明した。
IAEAによる検証だけでは不十分とみている理由について、同高官は「IAEAはあくまで原子力の平和利用促進を目的に創設されている。核兵器には対応できない」と語り、イラク戦争を機に深まったIAEAへの不信感をうかがわせた。
一方、別の米政府当局者によると、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)は、エネルギー省を軸に国務省、国防総省、中央情報局(CIA)などの担当者を集めた「技術監督グループ(TOG)」を発足させた。すでに昨年12月と今月に会合を開いた。
北朝鮮が将来、核査察に対して十分な情報を提供しない場合も想定し、「情報隠しなどがあれば数年間を費やしてでも検証する。そのためのシミュレーションづくりを急いでいる」と同当局者は話した。
TOGは、北朝鮮の寧辺にある5000キロワットの黒鉛減速炉などの解体方法について、同型の原子炉を持つ英国などから情報提供を受けている。
(01/24 18:16)
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