パキスタンのムシャラフ大統領は5日、同国が核兵器を開発するため、国際的なブラックマーケット(闇市場)を利用したことを認めた。核技術を北朝鮮、リビア、イランに漏洩(ろうえい)した同国の「核開発の父」アブドル・カディール・カーン博士の罪を赦免すると発表した記者会見で語った。漏洩には政府や軍の関与はなかったと繰り返した。
核をめぐる闇市場の実態は、米国や国際原子力機関(IAEA)などの調べで明らかにされつつあるが、大統領は「闇世界の根は広がっており、欧州人やパキスタン人もかかわった。その中心地は(アラブ首長国連邦の)ドバイだ」と語った。
さらに「我々も闇世界を通じて(核兵器を)作った。(必要な部品や材料を)公然と買ったのではない」と述べた。核の入手の際には政府ぐるみで闇市場を使ったことを認めつつ、核拡散では政府の関与を否定したことになる。
政府や軍の関与がなかった証拠として、大統領は「米国などがどう公式にコメントしているのか見てほしい」と述べ、対テロ戦での重要性からムシャラフ政権批判を避けている米国政府の姿勢を引き合いに出した。
核拡散が明らかになったことで、被爆国日本からの経済支援に影響が出ないかと問われると、「個人がやったことだということを日本も知っている」と、影響がないとの見方を示した。
また、昨年暮れのイランの査察受け入れやリビアの核開発計画断念をきっかけに、パキスタンからの核拡散が明るみに出たことについて、「イスラム教の兄弟国との間で(核拡散が)行われたという者もいる。だが、兄弟国がやったのは、断りもなく暴露することだった」と批判。北朝鮮については「(漏洩先の)1カ国はイスラム教国ではなかった」と述べるにとどまった。
パキスタンは74年のインド核実験後、核開発に着手。98年5月に核実験に成功した。核弾頭の搭載が可能な弾道ミサイル・ガウリの発射実験にも成功している。
(02/06 13:43)
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