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出産の喜び、母から生徒へ 広がる「誕生学」講座

2006年07月18日

 お産や育児の実際を、お母さんたちが学校に出向いて子どもたちに教える「誕生学」の講座が各地で開かれている。「痛かった」「大変だった」とネガティブにとらえられがちな出産・育児の豊かな側面を知ってもらうことで、若い世代に結婚や子育てへの意欲を持ってもらうのがねらい。子どもたちからは、「生まれてきただけですごい、と自分に自信が持てるようになった」などの感想も届いている。

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「泣かれてもあわてないでね」。高校生に1歳の子どもを抱かせる徳廣直子さん(右)=京都市伏見区の京都橘高校で

 京都市伏見区の京都橘高校に6月15日、近所に住む乳幼児のお母さん8人が子どもを連れてやってきた。教育に産婦の体験を生かそうと去年9月に結成された「お産からあたたかい社会まで お母ちゃんの声、届けたいな キャラバン隊」だ。3年生の「人間学」の授業の一環で、1クラスに2、3人ずつ分かれて入り、机を片づけて床に車座に座った。

 徳廣(とくひろ)直子さん(34)は長女の優子ちゃん(6)、長男の正太朗君(1)とともに輪に加わり、生徒たちに「抱っこしてみる?」。新聞紙で子どもをあやすためのハタキを作ったり、正太朗君のおむつを換えたりしながら、夫との出会い、結婚、出産体験を話した。「何をするにも『ながら』になるのが子どもとの暮らし」。正太朗君がぐずると、輪の中心に2人で寝転がって、おっぱいタイム。「こうして添い寝してると、温かくやわらかい気持ちでいっぱいになるの」

 清水祐子(さちこ)さん(34)は長男息吹(いぶき)君(2)のお産が逆子から帝王切開になった体験を話した。「私が妊娠中に甘い物や脂っこい物ばかり食べていたから、居心地が悪かったのかな」。最近、おそるおそる息吹君に聞いてみた。「ママのおなかの中は明るかったよ、って言われて救われました」と笑顔になった。

 生徒たちの感想は「出産はめっちゃしんどいと思ってたけど、すばらしいものなんやな」「自分の親からは、生まれたてはサルみたいだとしか聞いたことがなかった。お産や赤ちゃんって、いいものなんだって初めて知りました」など。

 あるクラスでは、「子育てがしんどい時はどうするの?」「虐待についてどう思いますか?」という質問も出た。徳廣さんは「高校生がお産や子育てに強い不安を持っていることがわかった。キャラバンを通して、地域に性や出産について心を開いて話せる大人がいるよって伝えたい」。

     ◇

 「みんなのおへそは何のためについてるか、知ってますか?」

 大葉(おおば)ナナコさん(41)の「誕生学講座」は、こんな問いかけから始まる。へその緒からさかのぼって、受胎のしくみや、出産の時に赤ちゃんの頭が回転しながら降りてくること、骨盤や産道がどう開くかを小、中学生に説明する。

 大葉さんが代表理事を務める有限責任中間法人「日本誕生学協会」(東京)は去年3月の発足以来、これまでに長野県伊那市立新山小学校、京都立命館宇治高校など全国55カ所に、講師を派遣してきた。

 大葉さんは「死ぬほど痛い、つらいというお産の体験を聞かされた子どもは、自分の生命をいやなもの、大切ではないもの、と受け止めるようになってしまう。そうした負の連鎖を絶ちたかった」と言う。

 講座には、赤ちゃんや妊婦が同伴し、ふれあいタイムも。受講した小学生の感想は「ぼくは、生まれてきてすごい」「針で穴を刺したぐらい(の大きさ)だった自分が、よくここまで育ったなあ」。出産のビデオを見た高校の女子生徒は「今は反抗期で親とは毎日ケンカが絶えないけど、いつか産んでくれたことを感謝したいと思います」とつづった。

     ◇

 「キャラバン隊」は京都市内を中心に活動。問い合わせはメールで徳廣さん(tenohira-toku-nao@ezweb.ne.jp)へ。「誕生学講座」の講師派遣は学校・団体あたり1万5千円から。申し込み・問い合わせはファクスで03(5454)8212へ。

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