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県立奈良病院の産科医2人、県を提訴 激務改善求め

2006年12月09日

 過酷な労働に見合う時間外手当が支給されていないとして、奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が04、05年の同手当の未払い分にあたる計約9200万円の支払いを求める訴訟を、奈良地裁に起こしたことがわかった。奈良県の場合、深刻な医師不足で業務が増えているにもかかわらず、宿直時の手当が一律で、病院関連予算の抑制も目立つ。原告側は「手当の支給よりもむしろ、訴訟を通じて、県に労働環境の改善を促したい」と訴えている。

 訴状によると、同県では、勤務医の宿直手当が1回2万円の一律支給となっている。救急患者が搬送された場合などに病院に呼び出される自宅待機(宅直)には、手当が支払われない。

 特に同病院の産科医は、夜間でも分娩(ぶんべん)や手術などが頻繁にあり、宿直業務が労働基準法で規定された時間外労働にあたると指摘。宅直についても「労働からの解放」が保障されておらず、勤務時間とみなすべきで、県の手当支給は違法と主張している。医師2人は当直が2年間に155日と158日、宅直が120日と126日にのぼっており、未払いとなっている時間外手当を計9233万円と算定した。

 原告側弁護士は「労働基準法を無視した労働実態だ。十分なスタッフをそろえて医療事故を防ぐことが、結果的に市民の利益や手当の抑制にもつながる」と話す。

 2人は5月、同僚の産科医3人とともに、同手当の未払い分として計約1億円を請求する申入書を県に提出。その後の交渉で改善策が示されなかったとして、提訴に踏み切った。県の担当者は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。

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