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「激務イヤ」研修医半減 近畿の12大学、3年で

2006年05月16日

 新人医師たちが出産の場を敬遠している。近畿12大学の医学部産婦人科医局に入った研修医が3年前に比べて半減していることが、朝日新聞の調べでわかった。04年度から始まった新たな臨床研修制度で、ほかの診療科も回ってから専門の入局先を選ぶようになり、小児科や脳外科と同様、産婦人科の人気のなさが際立った形だ。

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エコーの指導を受ける産婦人科の研修医(手前ら)=大津市で

 滋賀医大で臨床研修に取り組む宗清暁子さん(26)は、産婦人科に入局すべきかどうか迷っている。研修前は「女性の特性を生かせる」と希望していた。迷いが強くなったのは研修が始まって1週間後。胎児が弱り、主治医の勧めで帝王切開を決めた妊婦が「本当は自然分娩(ぶんべん)したい」という気持ちを抑えきれず、独り病室で泣いていた。

 じっくり話して納得してもらえたものの、「自分が主治医だったら、こんな重い判断をしなくてはならないのか」と重圧を感じた。当直や緊急搬送が多い現状にも、「ぎりぎりの決断を昼夜なく迫られ、体力と気力がもつだろうか」と悩む。

 日本産科婦人科学会の2月の調査では今年度、産婦人科に進む予定の医師は研修先の大学と一般病院合わせて約300人だった。研修医が診療科を見比べて専門を選べる新研修制度が導入される前の03年度までは350〜360人。産婦人科を目指す若手が1割以上減った計算になる。

 中でも大学の医局は深刻だ。近畿2府4県の計12大学の産婦人科医局に朝日新聞が問い合わせたところ、03年度に計60人いた入局者が、今年度は29人に激減していた。

 大阪府内にある大学の教授は「大学卒業時には希望者が7人いたが、実際に入ったのは2人。外科や内科に『そうめん流し』のように持っていかれた」。入局者がゼロだった大学の医局長は「勤務がきつい産婦人科は不利だ」と嘆く。

 特に男性の産科離れが目立っており、29人中わずか5人。村田雄二・前大阪大教授が03年度に行った医学生の全国調査でも「産婦人科が志望の選択肢にある」と答えた女性は57%だったのに男性は19%にとどまった。大阪大病院の男性研修医(26)は「過労や訴訟などネガティブな印象が強い。自分のQOL(生活の質)も大事だから」と言い切る。

 毎年、十数人が入ってきた大阪大の産婦人科も今年度は4人だけ。それも全員女性だ。その一人、山縣愛さん(26)は医局の派遣先の大阪労災病院(堺市)で専門医を目指す。産科医が足りないと聞いて手を挙げたが、相次ぐ医療事故には不安を覚える。「1人では精神的にきつい。余裕を持って診療ができる環境にしてほしい」

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