現在位置 : asahi.com > ニュース特集 > いま、お産の場は > 記事 ここから本文エリア

嘱託医探し、悩む助産師 医療法改正案「産科医に限る」

2006年05月30日

 国会で審議中の医療法改正案が開業助産師たちに波紋を広げている。お産の安全性を高めるため、定義があいまいだった助産所の「嘱託医」が産婦人科医に限定され、緊急時に搬送できる「連携医療機関」も義務化されるからだ。産科医不足の中、嘱託医を引き受けてくれる医師や連携先が見つからず、開業できない恐れもある。出産数の1%を取り扱う助産所と、病院・診療所の連携はどうあるべきか、模索が続く。

 「産科医不足と聞くたび、やっと探した嘱託医がお産を取らなくなったら、と不安です」

 横浜市の助産所「バースあおば」の柳沢初美助産師は20日、東京都内のシンポジウムで訴えた。地域住民が出資し、96年に開設されたが、ネックになったのが嘱託医。「助産所のお産は危なっかしい」などと3人に断られ、ようやく近くの総合病院が嘱託医と連携医療機関に名乗りを上げた。だが、その病院も昨春から夜間の小児救急が休診。今後決まる連携先の要件から外れてしまう可能性もある。

 助産所の分娩(ぶんべん)は約1割が病院搬送になる。医療の支えは不可欠だ。今でも85%は産婦人科医だが、小児科、内科のケースもある。柳沢さんは「助産師が自力で嘱託医を探すのは大変。行政が医師や病院を紹介するシステムがほしい」。

 助産師らのNPO法人「お産サポートJAPAN」(事務局・東京)が開業助産師13人にアンケートしたところ、6人が嘱託医探しで苦労しており、契約を結べても、緊急時に不在だったりして、慌てて救急病院に搬送した経験を12人が持っていた。同法人は2月末、基幹病院と必ず連携できるような医療システムの法制化を求めて署名活動を開始。約5000人分を集め、衆参両院議長に提出した。

 どんな仕組みがあればいいのか。

 堺市では地元の産婦人科医会と助産師会が協力し、希望する助産所に嘱託医を推薦するシステムを99年から始めた。助産所でお産したい妊婦は、定期的に嘱託医を受診。逆子や胎児が小さいなどハイリスクと判断されれば、嘱託医の診療所や基幹病院に転院する。助産師が異常分娩の妊婦を出産間際になって病院搬送したことが過去にあり、日頃から連携を取る仕組み作りが急務だった。

 市内の年間分娩数約7000件のうち、百数十件を五つの助産所が担う。年に数人が事前に病院などに転院し、10人前後が分娩時に嘱託医による治療や緊急搬送を受けるが、妊娠中から何度か診察している嘱託医を通すと、転院や病院搬送が円滑に進む。システムを立ち上げた当時の医会会長で、助産所の嘱託医でもある小野晃範さんは言う。「医会として地域のお産をバックアップし、安全確保に努めていきたい」

PR情報



ここから広告です
広告終わり

マイタウン(地域情報)

∧このページのトップに戻る
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。 Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.