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お産施設急減で「集約化」、揺れる地方 増え続ける「空白地帯」

2006年06月15日

 産婦人科を標榜(ひょうぼう)しながら、出産ができない。そんな医療機関が予想以上に増えている現状が、14日発表された日本産科婦人科学会の調査で改めて浮かび上がった。激務や医療事故のリスクを避けるため、医師1人態勢を解消しようとする動きが先行し、お産の「空白地帯」が増え続ける。こうした現実を踏まえた産科医の「集約化」に、地方が揺れている。

 調査によると、1医療機関あたりの常勤医数では、最多の東京が4.31人だったのに対し、最少の岐阜は1.59人。ほかにも青森、岩手、福島、滋賀、愛媛、佐賀、大分の7県で2人以下だった。

 福島県の場合、分娩(ぶんべん)を取り扱っている医師数は114人で、04年調査の産婦人科医数の74%にすぎない。県立大野病院で2月、産婦人科医が業務上過失致死容疑などで逮捕、起訴された事件が波紋を広げており、県の担当者は「医師の絶対数が少ない中で集約化を進めれば、産科を閉める病院が出てくる。地域の危機感も強い」と嘆く。

 常勤医1人の医療施設が4割を占める石川県。井上正樹・金沢大教授は「能登半島のような過疎地を抱えており、たった1人でお産を扱う『一人医長』が増えるのはやむを得ない」と話す。派遣する産科医が大学にいないうえ、市町にも2人の医師を抱える財政的余裕がないという。

 県医療対策課の担当者は「国や学会が提唱する集約化は都市型モデルで、地方では無理。一人医長を残す可能性も含め、地域住民や妊婦のニーズに合った産科医療体制を検討したい」と打ち明ける。

 15病院のうち10カ所で医師が2人以下の滋賀県の担当者は「こちらが把握していた数字より厳しい。改めて実態を調べ、対策を練る協議会を立ち上げたい」。同県では診療所での出産が多いといい、「他県とは事情が違う。集約化の是非も含めて検討する」としている。集約化とは別に、滋賀医大病院(大津市)が主導して周辺の診療所や助産院と連携し、ハイリスクの妊婦を同病院に集める「オープンシステム」の取り組みも今年、始まった。

 岐阜県では、24の病院で働く常勤医がわずか57人。これに対し、診療所には倍近い107人の医師がいる。県の担当者は「拠点病院に5人以上という厚生労働省の集約化案に従えば、お産を扱う病院が半減してしまう。どこから手をつければいいのか」と漏らした。

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