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出産の場、急減 分娩休止、1年半で138病院 1665カ所

2006年06月14日

 04年秋に産婦人科・産科を掲げていた全国の1665病院のうち、8.3%にあたる138カ所が4月末までに分娩(ぶんべん)の取り扱いをやめていることが、朝日新聞の全都道府県調査でわかった。深刻な医師不足を理由に、大学の医局が派遣している医師を引き揚げたり、地域の拠点病院に複数の医師を集める「集約化」を独自に進めたりしているのが主な理由とみられる。出産の場が急速に失われている実態が浮かび上がった。

 厚生労働省が行った直近(04年10月時点)の調査で産婦人科・産科を掲げていた病院は1665カ所にのぼっていた。この時点で複数の病院が分娩の取り扱いをやめていたが、同省は把握していなかった。朝日新聞が今回、47都道府県と政令指定市から聞き取ったところ、こうした病院を含め、4月末までに計138カ所が分娩を取りやめていたことがわかった。リスクの高い妊娠を扱う地域周産期母子医療センターでも計7カ所で分娩休止に追い込まれていた。

 厚労省の調査によると、産婦人科・産科は90年以降、減り続け、02年10月〜04年10月の2年間では計85病院で廃止・休止された。今回の調査では、この1年半にこれを上回るペースでお産ができない病院が増えている実態が判明した。今年5月以降、産科の休診を表明している病院も多く、減少傾向はさらに続く見通しだ。

 地域別にみると、福島や新潟、山形、長野各県など、特に東北、中部地方で減少ぶりが目立つが、兵庫や千葉、福岡など指定市を抱える県でも、産科が相次いで休止に追い込まれている。昼夜を問わない過重労働や医療訴訟の多さが敬遠され、医師不足が深刻化。このため、大学が病院への派遣を打ち切ったり、高齢出産などリスクがある分娩の安全性を高めようと、集約化を推し進めたりしている現状が背景にあるとみられる。

 厚労省によると、04年に全国で生まれた約111万人の51.8%が病院での出産だった。同省は昨年末、産婦人科・産科の集約化の必要性について今年度までに検討するよう各都道府県に通知したが、それぞれの地域事情を抱え、具体的な取り組みは進んでいない。「産科がなくなる地域の反発が心配」(京都府)といった慎重論が多い一方、「集約できるほど医師がいない」(宮崎県)、「医師を確保できる仕組み作りが先決」(沖縄県)など集約化に懐疑的な県もある。

 こうした状況下で、県レベルの医師確保策が過熱している。岩手県は今年2月、産婦人科医不足を補うため、厚労省の「臨床修練制度」を利用して岩手医大に中国人の研修医を迎え入れた。新潟県では昨年度、県内の病院に医師を送り込んだ人材派遣会社に支払う成功報酬の半分を県費で負担する独自事業がスタート。富山県や三重県では、県が指定する病院に勤務した医学生に奨学金の返済を求めない「修学資金制度」を産婦人科に適用している。

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