現在位置:asahi.com>ニュース特集>いま、お産の現場は> 記事

受精卵診断、医師除名は有効 法整備も促す 東京地裁

2007年05月10日22時06分

 遺伝性の病気などを妊娠前に調べる受精卵診断(着床前診断)を日本産科婦人科学会(日産婦)が自主規制しているのは違法だとして、神戸市の産婦人科医らが規制の無効確認などを求めた訴訟で、東京地裁は10日、無効確認の訴えを却下するなど原告側の主張をすべて退ける判決を言い渡した。中村也寸志裁判長は「規制が公序良俗に反するとまでは言えない」と理由を述べる一方で、立法による速やかな対応が必要との見解を示した。

 訴えていたのは、大谷産婦人科(神戸市)の大谷徹郎院長と患者ら。大谷医師は男女産み分けなどのために診断を実施。学会は大谷医師が会告に違反したとして除名処分にした。

 中村裁判長は、現状について「立法が社会情勢の変化に対応して迅速に行われないため、学会の規制が法律に代わる機能の一端を果たさざるをえない状況だ」と指摘。規制が公序良俗に反する場合に限って無効になるとしたうえで、会員から広く意見を聴取して規制が決定された経緯などに照らし、「医学的な妥当性には検討の余地はあるとしても、公序良俗に反するとまでは言えない」とした。除名処分についても有効と判断した。

 その一方で「遺伝病のない子を持ちたいという親の切実な希望、障害者の意見など多角的な検討が必要だ」と言及。学会による規制が理想とはいえないとして、何らかの法整備を促した。

PR情報

このページのトップに戻る