大久保隆規・公設第1秘書
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が2004年に取得した土地の購入原資4億円が政治資金収支報告書に記載されていない事件で、東京地検特捜部は16日、会計責任者だった公設第1秘書・大久保隆規(たかのり)容疑者(48)を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕した。逮捕は、元秘書で衆院議員の石川知裕(ともひろ)容疑者(36)=同党、北海道11区=と元私設秘書池田光智容疑者(32)に次いで3人目。
大久保秘書は昨年3月、陸山会などを受け皿に西松建設から03〜06年に計3500万円の献金を受けたのに、収支報告書には西松建設OBが代表のダミー団体からの寄付とする虚偽記載をしたとして逮捕・起訴されていた。2月下旬まで日程が入っている審理予定は大幅に見直されることになりそうだ。
特捜部の調べでは、大久保秘書は、15日夜に逮捕された、いずれも同会の事務担当者だった石川議員、池田元秘書と共謀。陸山会は04年10月29日、分散入金した4億円で東京都内の宅地を約3億5千万円で購入したものの、04年分収支報告書には4億円の収入も土地代金の支出も記載しなかった疑い。さらに、土地は05年に取得したと偽って05年分収支報告書に虚偽の支出を計上し、07年に小沢氏に4億円を支出した際も記載しなかった疑いが持たれている。
大久保秘書はすでに03〜06年分の収支報告書の虚偽記載罪で起訴されているため、今回は池田元秘書と共謀した07年分の4億円の不記載容疑で逮捕された。
関係者によると、問題の土地は、小沢事務所の秘書寮用地として、小沢氏が大久保秘書に物件探しを指示。大久保秘書は小沢氏宅近くに見つけ、小沢氏を案内して了解を得た。その後の経理手続きは石川議員に任せたという。
大久保秘書は今月5日に任意の事情聴取を受け、「経理は石川氏任せで細かく知らないが、収支報告書を見て署名押印したのは事実。書くべきものが書かれていなかったのに気が付かなかった」と供述したという。
一方、中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県)の元幹部は特捜部に対し、「胆沢(いさわ)ダム」(岩手県奥州市)の関連工事を下請け受注した時期にあたる04年10月と05年4月に、大久保秘書の要請を受け、5千万円ずつ計1億円を石川議員と大久保秘書に渡したと供述。特捜部は土地取引と同時期の1回目の5千万円が4億円の土地購入原資の一部となった疑いがあるとみているが、大久保秘書は「知らない」と否定したという。