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原宿駅の北、宮廷ホームひっそり 皇室専用、9年不使用

2010年8月31日7時0分

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写真原宿駅のホームから北側を見ると、右手に宮廷ホームが見える=東京都渋谷区のJR原宿駅

写真現在のお召し列車。原宿の宮廷ホームから使われたことはない=2008年11月、東京都台東区のJR上野駅、代表撮影

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 東京都渋谷区のJR山手線原宿駅の北側に、黄緑色の屋根の小さな駅がある。「宮廷ホーム」。皇室専用の特別の駅だ。天皇陛下の静養の際などに「お召し列車」が発着していたが、9年以上使われていない。周囲を白い壁で囲まれた入り口の門扉は閉ざされたままだ。

 原宿駅の竹下口から代々木方面に約200メートルほど歩くと、宮廷ホームの入り口がある。周囲を囲まれていて、すぐにそれとは気づかない。

 JR東日本によると、完成は1925(大正14)年10月。体調が悪化した大正天皇が移動する際、人目につかずに乗降できるように造られたとされる。翌26年、大正天皇が神奈川県の葉山御用邸への移動のため初めて使った。

 施設の概要は「非公表」。だが、星山一男著「お召列車百年」(鉄道図書刊行会)によれば、車寄せからホームに停車した列車までの距離は10メートルほど。ホームの長さは百数十メートルという。原宿駅などのホームより短い。

 昭和天皇の時代には、那須御用邸(栃木県那須町)や須崎御用邸(静岡県下田市)への移動や、地方訪問の際に頻繁に使われた。JR東によると、JR発足後の87年以降では計30回の発着があり、そのうち香淳皇后だけでの発着が12回あったという。

 だが、現在の天皇陛下になって利用機会が減り、2001年5月を最後に、利用されていない。

 現在、那須御用邸への移動には東京駅から新幹線を利用し、葉山御用邸へは皇居から車で向かう。宮内庁幹部は「静養のためにわざわざ宮廷ホームを使って迷惑をかけるより、一般と同じようにとのお気持ちがあると思う」と話す。

 背景には、複数の路線が走る過密な列車ダイヤとの兼ね合いがある。

 ホームは山手線と平行に走る貨物線から分岐する形になっている。JR東によると、貨物線を走る埼京線に加え、01年12月には湘南新宿ラインも運行を始めて列車本数が増えるなどしたため、「使用が難しくなっている」という。

 維持管理を担当するJR東によると、現在は定期的に草刈りをする程度。線路のポイントは使用停止で、信号のランプにもふたがしてある。レールもさびついており、即座には使えない状態だという。

 今後、ホームの出番はあるのか。宮内庁幹部は語る。「国賓の地方へのご案内など、利用するのに十分な理由がある行事の場合にはお使いになることもあると思います」

 お召し列車の運行自体も減っている。昭和天皇の時代には年に数回あった運行は、平成に入ってからの21年間で合計7回。新幹線や定期列車の編成を利用することが増えたためだ。

 日章旗と菊の紋章をつけたお召し列車が最後に運行されたのは、天皇、皇后両陛下がスペイン国王を茨城県つくば市に案内した08年11月。07年にJR東が造った新型お召し列車「E655系」のデビュー、しかもお召し列車の運行自体約6年半ぶりで、沿線では多くの鉄道ファンがカメラを構えた。

 新型列車は「御料車」とも呼ばれる皇室専用の特別車両1両と、ハイグレード車の5両からなる。この5両は「なごみ」との愛称で一般向けの高級列車としても使われる。

 だが、特別車両は08年のつくば訪問の1度きりしか使われていない。今年4月の須崎御用邸への移動の際には久々に伊東駅までこの5両が使われたが、静養が目的だからと特別車両は連結されず、菊の紋章もつけられなかった。

 そうした中、約2年ぶりに特別車両を連結したお召し列車が9月下旬に使われる予定になった。両陛下が国民体育大会出席のために千葉県を訪れるためで、公務で房総半島を移動する際に乗車する。宮内庁によると、移動距離が長いため、自動車ではなくお召し列車を利用するという。(佐々木隆広)

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