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アリジゴク、おしっこする 千葉の小4が通説覆す発見

2010年11月8日9時11分

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写真吉岡君が撮影したアリジゴクの写真

写真アリジゴクを手に取る吉岡諒人君=千葉県袖ケ浦市、赤井写す

 「アリジゴクは排泄(はいせつ)しない」という「通説」が覆されるかもしれない。千葉県袖ケ浦市の小学4年生、吉岡諒人(りょうと)君(9)が夏休みの自由研究で、アリジゴクの「お尻」から黄色の液体が出たことを確認した。吉岡君から質問を受けた日本昆虫協会(東京都千代田区)は「通説や本、インターネットの情報をうのみにせずに発見した、価値ある研究」として今年度の「夏休み昆虫研究大賞」に選んだ。6日に表彰式があった。

 アリジゴクはウスバカゲロウ科の幼虫。一部の種はさらさらの砂地にすり鉢状のくぼみを作り、落ちてきたアリなどの体液をあごから吸う。幼虫期は肛門(こうもん)がほぼ閉じていて、成虫になる羽化時にため込んだ糞(ふん)をまとめて出す。日本昆虫協会によると、本やネット上では、羽化時まで「排泄しない」と記されたものが多いという。

 吉岡君は、近所の植え込みの下でアリジゴクを見つけて採集し、7月から約1カ月、生態を観察した。当初はアリ以外も食べるかなどを実験。しかし、アップの写真を撮ろうと白い紙の上にアリジゴクを置いた時、黄色い液体を出したのに気づいた。「プクーって出た後にはじけて、黄色い染みが広がった」という。

 「おしっこやうんちはしないはず」と思い、染みの写真をインターネットの質問サイトや日本昆虫協会などに投稿して質問したが、納得のいく答えは得られなかった。

 「エサの体液を吸っているんだから、おしっこを出さないと破裂するはず」との疑問が消えず、10匹のアリジゴクを白い紙の上に置いて調べた。その結果、数時間後、4匹の紙に黄色い染みができ、「お尻」はぬれていて「触ったらちょっととろりとした」という。

 「砂の魔術師アリジゴク」などの著書がある京都教育大学の松良俊明教授は「アリジゴクはエサの体液を吸うので糞はしないが、尿として出す可能性はある。ほとんどふさがっている肛門でも、液体なら通るのでは」と話す。「砂が尿らしき物で固まっていたのを見たことがあるが、白い紙を使って尿の染みまで確認したのは聞いたことがない」

 学校に提出するため、リポートをA4判55枚にまとめたところ、協会から「協会の賞に応募しては」と声がかかり、漫画家のやくみつるさんや昆虫研究家ら審査員9人の全会一致で「夏休み昆虫研究大賞」に選ばれた。協会の木村義志理事は「尿が実際に確認されない中、『排泄しない』という記述があふれ、『糞だけでなく尿もしない』という通説が広まっていたのに、流されなかったのはえらい」と話す。(赤井陽介)

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