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検査で子ども150人が過剰被曝 甲府の病院

2011年9月1日3時0分

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写真拡大検査で過剰な内部被曝があった市立甲府病院=31日、甲府市増坪町

図拡大放射性物質を使った検査のイメージ

 甲府市立甲府病院(小沢克良〈かつら〉院長)の放射性物質(放射性同位元素)を使った検査で、日本核医学会などが勧告する基準を超える同位元素が投与され、子ども約150人が過剰に内部被曝(ひばく)していたことがわかった。同病院は1日、会見を開き、調査結果を公表する予定。

 複数の関係者によると、原因は放射性物質「テクネチウム」を使った検査。これが入った検査薬を患者に静脈注射する。

 同病院で1999年から今年までにこの検査を受けた15歳以下の子どもに同医学会や日本放射線技師会など複数の推奨基準を超える量のテクネチウムが投与された。うち40人が10倍以上だった。

 過剰投与された子どもたちの全身の内部被曝線量を算出すると生涯の推計で平均約30ミリシーベルト。多い子で150ミリシーベルト以上だった。

 患者に何らかの利益がある医療被曝と何の利益もない原発事故の被曝は単純に比較できないが、福島県による東京電力福島第一原発周辺の住民の検査では、これまで全員が生涯の内部被曝線量(推計)が1ミリシーベルト未満だった。

 全身の被曝線量が100ミリシーベルトを超えると成人でもがんのリスクが高まる恐れがある。子どもは放射線の健康影響を3倍以上受けやすい。ただし、今回は間隔をあけて複数回の検査を受けた子も含まれることなどから、検査直後に健康被害が出る被曝線量ではないとみられている。

 大半の子が腎臓の働きを調べる検査を受けており、腎臓に特化した影響を示す内部被曝線量の値は平均約350ミリシーベルト。約3700ミリシーベルトに達した子もいた。

 腎臓の被曝線量のように特定の臓器の被曝線量は全身被曝線量より高くても健康への影響は比較的少ないとされるが、どの程度少ないのかはわかっていない。

 テクネチウムの半減期は約6時間と短いが、注射で体内に入れるため完全に消えるまで被曝が続く。しかも放出される放射線は比較的透過力が強い。

 同病院で放射性同位元素を使った検査の担当者は放射線技師。検査の画像の質を高める目的などで、独自の判断で基準を超える量の放射性物質を検査薬に入れたことで起きたとみられる。医師が患者に投与する際に見逃されていた可能性が高い。

 同病院では、過剰被曝を受けた子どもの家族に通知を送り、希望者には健康への影響を検査する予定。

 同病院の小沢院長は8月31日、朝日新聞の取材に「現時点では(詳細を)お話しすることはできない」と答えた。

 神谷研二・広島大原爆放射線医科学研究所長は「治療や検査が目的でも、無駄な被曝は許されない。最小限必要な線量だけを、きちんと管理して投与すべきだ」と指摘する。

 同様の検査は全国の病院で、推計年間約140万件実施されており、今後、適切に実施されているかどうか確認が重要だ。(大岩ゆり、板垣麻衣子)

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