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中田翔(プロ野球・日本ハム) 怪物が「野球人」に変身

2011年3月8日14時36分

写真拡大「バットは商売道具。そのまま地面に寝かすことのないようにしています」=上田幸一撮影

 やんちゃだった怪物が、言葉遣いや練習態度で大人に変身。プロ4年目にかける意気込み、意識改革について尋ねてみました。

    ◇

 武内 握手させて頂いていいですか?

 中田 はい。

 武内 マメがすごいですね。

 中田 いやもう全然、マシになりましたよ。

 武内 キャンプが100%としたら、マメは今はどのくらい残ってますか。

 中田 50%くらいです。なくなったというか、固まってきたというか。マメが出来やすいんですよ。キャンプ中はズルズルだったんですけど。

 武内 今日の試合後は何をしていたのですか。

 中田 バッティングですね。確認しながらやっていました。

 武内 いつもやっている?

 中田 してますね。今のフォームを早く自分のものにしたいので、毎日、確認して終わるようにしています。

 武内 自主トレからここまでの調子はどうですか。

 中田 すごく充実しているというか、今、野球が本当に楽しくて仕方ないくらい集中できています。

 武内 打撃も好調。自分の評価としてはどうでしょう。

 中田 自分のレベルの選手では、アピールするために大切な時期。今はバッティングフォームとかすごく集中して自分のやりたいように出来ているので、いいと思います。

 武内 キャンプで梨田監督が一番の収穫は中田選手だと言っていましたね。

 中田 本当にありがたいですね。オフから自分がやってきたことが認められたのかなと少し思った瞬間でもありました。監督にほめてもらうことによって、もっと認めてもらうことをしてやろうと前向きに思える。あの時期にああ言ってもらえたのは、ありがたかったです。

 武内 これまでの監督は、あえて厳しい言葉で中田選手を表現してきたような気がしますが。

 中田 自分自身もほめられたという記憶がないくらいですね。厳しいとはまた違うけど、アドバイスはくれても、今回みたいに良くなったとストレートに言ってもらえるのは正直、なかったと思いますね。

 武内 自主トレから新たに取り組んだことは。

 中田 やっぱりバッティングのフォームで、意識せずに右方向に大きいのを打てるように取り組んでいますね。

 武内 今季からアメリカに行った西岡選手との練習の影響は大きかったのでしょうか。

 中田 すごく大きかったです。西岡さんに色々とアドバイスを頂いて、それを自分のモノにしてやろうという強い気持ちで取り組んでいたので。西岡さんからのアドバイスがなければ、ここまで打撃が変わった、良くなったと言うことはなかったと思いますね。

 武内 技術だけでなく、意識面などで西岡選手から受けた影響は。

 中田 やっぱり4年目ということで、真剣にそろそろ行けということは言われましたね。

 武内 西岡選手は去年のシーズンに野球に対する意識が変わったという印象を受けましたが、どう思いますか。

 中田 自分は1年目から一緒にやらせてもらっているけど、西岡さんは1年目からやるときはやるという考え方の人だった。集中していたけど、今回のオフは特に練習中に話しかけられないくらい集中しまくっているというか、そういう今までにない集中力を感じましたね。

 武内 影響を受けました?

 中田 すごく。西岡さんの練習態度だとか、顔つきを見ているだけで、自分もやらなあかんなと思ったし。メジャーに行くという気持ちの入れようと言うか、その辺がすごく伝わってきたので、自分もやってやろうと思いました。

●「大口」より結果

 武内 本当に落ち着いた話し方ですね。実は、失礼ですが中田選手はどうしてこんなに変わったのかも知りたくて。

 中田 変わりましたかね。

 武内 意識はない?

 中田 変わりましたね。あはは。やっぱり、3年目でやっとスタートラインに立てたと思いましたので。ホームラン1本打つまですごく長かった。手首やひざのケガもあり、2軍にいたからこそ、逆に今の自分があると思っているので。そのスタートラインにやっと立てた。そこから4年目。本当に勝負の年。3年目も勝負の年と言っていたのですけど、その勝負の年にやっとスタートラインに立てた。あの時期から9本ホームラン打てるとは正直思っていなかったけど、でも心のどこかで9本という中途半端な本数で終わってしまってちょっと悔しいなと言う思いもあったので。4年目。ここから爆発するじゃないですけど、早くファンの方にも、指導者の方にも認めてもらいたいという気持ちもすごく強い。野球に対する姿勢もそうですけど、考え方も変わったというのがすごく大きいですね。

 武内 話し方に関してはいつごろから意識して変えたのですか。

 中田 やっぱり1、2年目というのは、あの頃のテレビを見ていても、自分でも何でこんなこと言ってしまったのかな、生意気だなと思う位なので。結果を残している人がビッグマウスとか、そういうのを言っても全然、自分は格好いいと思うんですよね。結果を残しているから、みんなもそうかと思うでしょうけど、結果も残していないのが大口たたいたところで何も格好良くない。また言うてるわ、というくらいでしか聞いてなかったと思う。まあそれに気付いてからですね。

 武内 それに気付いたのはいつくらいですか。

 中田 3年目くらいじゃないですかね。開幕スタメンになってちょっとたってからですね。勝負の年、勝負の年と言ってて、考え方、受け答えからすべて変えていこうと思いました。

 武内 それは誰かに言われたからですか。

 中田 そういうのはないです。単純に、報道とか自分のものを見ているときに、ふと思ったんですよ。全然、格好良くないなと。

 武内 ちなみに何て言ったことに対してですか。

 中田 色々あるんですけどね。小遣いのことだとか。ビッグマウスですよね、ただの。強がってでかいことを言っているだけだなというのがたくさんあった。自分自身、情けない気持ちにもなったし、恥ずかしい気持ちになりましたね。過去のビッグマウスが。本当にしょうもないですね。

 武内 実は先輩たちにも中田選手について話しを聞いたんですね。ダルビッシュ投手は入団したときからずっと言っていた。やっとここに来て良くなってきたと言っていました。

 中田 確かにダルさんは言ってくれていたんですけど、正直、今だから言えるけど、聞く耳を持っていなかったです。自分は自分のやりたいようにやるという考えが強かったので。特に、そういう考えを持った人間だったので。聞く耳を持っていなかったですね。

 武内 自分自身、恥ずかしいと思ったことによって、まわりの言葉も響いてきた。

 中田 そういう考え方になってから、まわりが当たり前のことを言ってくれているんだなと取れるように思いました。今までは細かいことでも、「そのくらいええやんけ」と思っていた。今は冷静になって、そういうところがまだ出来ていないんだなと考えられるようになりました。

 武内 稲葉選手は、「ちょっと丸くなった。物足りない。もっと大きなことを言ってくれてもいいのにな」とも言ってましたけど。

 中田 別に、真面目ちゃんになったわけではないですよ。結果を残してから、好き放題やりたいと思います。

 武内 思っていることを言いたい。

 中田 思っていることも、行動もすべて、結果を残すようになってから色々とやりたいと思いますね。結果を残して、ファンの方にも球団にも信頼されるような選手になってから、やりたいことをやっていきたいと思いますね。

●休みの日も練習

 武内 キャンプから休みなくやっています。練習への意識の高さは。

 中田 やっぱりいま取り組んでいるフォームを早く自分のモノにしたいという気持ちが強いからこそ、まだまだ満足できていない。まだこのフォームが身に付いたという感覚はない。そこからですね。練習終わっても、試合が終わっても、例えばわきの使い方がどうだったとか、鏡の前でやってみようとか思えるようになりましたね。

 武内 昔は、休みの日は何をしていたのですか。

 中田 練習なんかしてないですよ。やってもウエートトレーニングくらいですね。ずっと2軍だったので、練習がない日は、朝から遊びに行ってました。服を買いに行ったりだとか、あっちこっちに行ったりしてましたね。

 武内 休みは楽しみだった?

 中田 そうですね。早く休みになれという日もありましたね。

 武内 ダルビッシュ投手は、中田選手のお酒の量も減ったと言ってました。

 中田 試合前だとか、そういうときは飲まないように。休み前とか飲みたいときは飲むんですけど、今日みたいにデーゲームとか続くときは飲まないようにしています。飲みたいと思うときは風呂で半身浴。そしたら、水でもおいしく思えるんですよ。それで我慢しています。

 武内 稲葉選手は、斎藤投手が入ってきたのも発奮材料になっているんじゃないかと言ってました。

 中田 それはもちろん、ありますね。今回は斎藤さんのフィーバーでファンも報道陣もものすごい人が来ていたんですけど、逆に自分は練習に集中できるというか。まわりの目を気にせずに一人で黙々と練習できるという気持ちにもなった。自分も一から取り組んであのくらいマスコミ、ファンを寄せ付けるくらいの活躍をしたいなと思いましたね。

 武内 ご自身の1年目もすごかったですよね。

 中田 そうですね。あのときも多かったですね。

 武内 嫉妬はなかった?

 中田 それはなかったです。キャンプに入る初日とか、ラッキー、ラッキーと思いました。この時期にバンバン練習して、自分の世界で集中してやろうと思いました。

 武内 自分の性格を自己分析すると。

 中田 飽き性なんですけど、でも、かなりの負けず嫌いだと思います。

 武内 先輩に伺うと、落ち込んでしまうという声もありましたけど。

 中田 落ち込むというか、変に考えすぎてしまうというのはあります。あのときは出来ていたのに、何で出来ないんだろうと思ってしまうとか。練習で確認しているのに、何で試合でできないのだろうとか。

 武内 練習などを見ていて、バットのグリップを絶対に床に置かない。あれはどういう意識でやっているのですか。

 中田 バットは商売道具なので、床にほおったり絶対にしないとキャンプ中から決めていました。これからも継続していくことですし、それで当たり前かなと思っています。バットをそのまま横に寝かすとかはしないようにします。

 武内 それはこのキャンプからですか。

 中田 はい。

 武内 誰かの影響を受けた?

 中田 バットに関しては自分で決めていたけど、その他に清原(和博)さんとかの話も聞いて。折れたバットでも持ち帰れと。商売道具だから、折れたバットでもテーピング巻いて家に置いておくだとか。そういう風にしろと。それを完璧に出来ている人は少ないと思うし。それを聞いたときに、やっぱりさすがだなと思った。プロ野球界で結果を残している人はこういう考え方を持ってやっているんだなと思ってから、バットを床に置かないというのを継続していこうと強く思いましたね。

 武内 去年は各チームエース級からホームランを打っています。今年の好調もあり、シーズンに入ったらマークが厳しくなるんじゃないですか。

 中田 たぶん、ないと思いますよ。それほど警戒はしていないと思います。やっぱり一流のピッチャーで、一流のバッターがたくさんいる中で。たかが9本ホームラン打ったバッターには。まったくノーマークで真ん中にボンボンというのはないでしょうけど。現に攻め方も変わってきているし、変化球先行とかになっているけど。例えば、必ず抑えておこうというバッターが確実に球団にいる訳じゃないですか。西武だったら中島さんとか中村さんとか。ああいうバッターではないので。なので、自分には逆に甘いボールも多いと思うんですよね。調子の悪いときはボール球を振って、甘いのを見逃してというのが多い。でも、いまはどんどん、積極的に振って行けているので。そういう風に甘い球を1球も逃さない気持ちでやっていけば大丈夫だと思うんですけど。

 武内 改めて、4年目の目標を。

 中田 まだ優勝だとか絡んだこともないので。2年目も、優勝が決まる2日前に2軍に落ちちゃったので。そのときの悔しさはすごく強い。去年以上の結果はもちろん残して、1日、1試合でも多く勝利に貢献していきたいという気持ちも多い。目標と言うより、早く結果を残してファン、球団に認めてもらいたいですね。早く「こいつはもう、球団におらなあかんな」と思ってもらえるようになれたら最高ですね。

 武内 先ほど言っていた「ビッグマウス」はいつ解禁になりますか。

 中田 自分がホームランを量産できるようになる頃。それか、認めてもらえるようになってからですね。

 武内 量産というのは。

 中田 まだまだ先のことかもしれないですけど、ホームラン王を狙えるくらいの本数かと思いますね。

自らを客観視 頼もしさ

 例えて言うなら「重い鎧(よろい)」を脱ぎ捨てたかのように、肉体も言葉も研ぎ澄まされていた中田選手。何よりも頼もしく感じたのは、誰かに何かを言われて自分を変えたのではなく、自らを客観視して変わることが出来たということ。やらされているのではなく、自分の意思で発言や野球に対する姿勢を変えたというのは、人として、また野球選手として、より大きな成果を生む可能性があると感じました。今度は「自らで鍛え上げた鎧」をまとって、本塁打王争いをして欲しいですね。

(テレビ朝日アナウンサー)

■インタビューは「報道ステーション」でも放送する予定です。

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 なかた・しょう 1989年広島県生まれ。大阪桐蔭高で通算87本塁打。日本ハムに入団3年目の昨季、左ひざ手術から復帰後の7月20日にプロ初本塁打を放った。通算9本塁打。

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