asahi.com
天気  辞書  地図  サイト案内  アクセスTop30 
サイト内検索:
ニュース特集 社 会 スポーツ 経 済 政 治 国 際 サイエンス 文化・芸能 ENGLISH 
ニュース特集一覧   
     
 home > ニュース特集    

【公的資金注入】


(中)不安の芽

 「予防注入」道筋開く


 足利銀行の「破綻(はたん)処理」が目前に迫ろうとしていた26日。金融庁の幹部らが、にわかに永田町の与党議員事務所を手分けして訪問し始めた。

 「いよいよ足利銀処理が決まったのか」。金融業界に緊張感が走った。

 しかし、金融庁幹部が手にしていたのは、「金融機能の強化について」と書かれたA4判1枚の資料。来年の通常国会への法案提出に向けた根回しだった。

 法案は、金融機関が自己資本不足に陥る前に、潤沢な資本を一挙に注入することを目指す。いわば公的資金の予防注入制度の復活だ。98〜99年の大手行などへの資本注入に使われた従来の制度には、「返済できる水準」と制限があったが、新制度ではそうした「縛り」はわきに置かれる。

 りそな処理で、約2兆円を投入して自己資本比率を一気に12%に引き上げたのと同様のイメージだ。

 足利銀行の破綻処理の準備を進める一方で、破綻させない制度を作ろうとする――。金融庁の矛盾した行動の背景には、りそな、足利銀と続いた預金保険法に基づく銀行処理の限界が誰の目にも明らかになってきたからだ。

 そもそも、預金保険法102条は「抜かずの宝刀」と呼ばれ、50年に1度使うかどうか、とすらいわれてきた。「金融危機」を宣言し、首相を議長とする金融危機対応会議を開くという手法は、厳格すぎて迅速性に欠けるからだ。

 このため、竹中金融相は就任直後から公的資金の予防注入制度の必要性を指摘してきた。金融再生プログラムに検討入りの方針を盛り込み、今年1月から金融審議会で議論を始めていた。

 しかし皮肉にも、5月のりそなに対する102条発動で後退を余儀なくされる。株主責任を問わなかったことで、株式市場が好感、「銀行はつぶれない」という神話が復活してしまったからだ。意外と使いやすいという評価も定着していった。

 その時期に、しかも金融庁検査をきっかけとする足利銀の破綻が起きた。

 ある大手銀行幹部は「新法へのスケープゴートに使われた側面もあるのではないか」とみる。地元経済への悪影響は今後出てくるだろう。そうすれば、破綻前に公的資金をどんどん注入するという新法に、与野党を問わず、理解者は増えるに違いない――。

 すでに「地域金融機関の機能を再生させるためには、自己資本問題の解決が必要」(与党代議士)との声も出始めている。

 「検査当局は本当にけしからん。厳しい引き当てを求めて足利をつぶすなら、金融庁の責任で勝手にやって欲しい」

 金融庁の立ち入り検査が佳境を迎えていた11月上旬。監査法人関係者は金融庁の姿勢に疑問を投げかけた。地域金融機関の不良債権問題を棚上げにする一方で、厳しい検査を通じて銀行を追い込む金融庁の姿勢に「矛盾している」と憤りをみせていた。

 しかし監査法人は、金融庁検査にはあらがえず5年分の繰り延べ税金資産をゼロにすることを求めた。その通りになった結果、足利銀の9月中間決算は1023億円の債務超過(自己資本比率マイナス3.72%)となった。

 地銀への金融庁検査は2〜3年に1度。足利銀も前回は2年前だった。「検査が入れば、うちも例外とは言い切れない」。こんな声が銀行業界に響く。破綻処理が続く可能性も否定できない。

 一方で、「不安の芽を摘む」新法へ向けた道筋ははっきりと開けた。しかし、実質国有化銀行を続々作れば、金融再生につながるのか。答えは見えぬままだ。

(朝日新聞2003年12月01日朝刊紙面)


◆(上)「ペイオフ」控え強硬 >>
◆(中)「予防注入」道筋開く >>
◆(下)「地域の構図」変革迫る >>








| 社会 | スポーツ | 経済 | 政治 | 国際 | サイエンス | 文化・芸能 | ENGLISH |
GoToHome ニュースの詳細は朝日新聞へどうぞ。 購読の申し込みはインターネットでもできます。 GoUpToThisPage
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 著作権 | リンク | プライバシー | 広告掲載と注意点 | アサヒ・コムから | 朝日新聞社から | 問い合わせ |
Copyright Asahi Shimbun. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission