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【公的資金注入】


(下)運命共同体

 「地域の構図」変革迫る


足利銀行日光支店の周辺には同行を主力行とした温泉旅館が多く集まる=栃木県日光市で

 世界遺産に登録された日光東照宮にほど近い、栃木県日光市の温泉街。その中心部にある足利銀行日光支店の両脇の老舗(しにせ)旅館が今年、相前後して営業をやめた。いずれも主力銀行は足利銀。1軒は再建に歩み出し営業を再開しているが、もう1軒は閉まったままだ。

 バブル経済がはじける90年前後、数億円規模の融資を受けて宿泊施設を新装、拡張した旅館は少なくない。「食事は安くできても、投資した設備は変えられない。旅館業は構造不況になった」と同市内の旅館経営者は嘆く。

 栃木県内の昨年の宿泊客数は、前年比45万人減の811万人。11年連続の下落が続く。

 破綻(はたん)した足利銀の経営悪化の主因は、バブル期にのめり込んだ首都圏での不動産投資だ。それに、温泉旅館だけでなく、地元経済の疲弊が追い打ちをかけた。

 県都、宇都宮市でもこの3年間に三つの百貨店が閉店するなど、中心街の空洞化が目立つ。空き店舗面積は約8万7000平方メートルと東京ドーム2個分だ。その象徴ともいえる老舗の上野百貨店は00年12月に倒産した。足利銀が主力銀行だった。

 「足銀さんがなくなって、地域の再開発計画に支障が出るのでは」と近くの商店主は表情を曇らせる。

 「栃木を北海道のようにはしたくない」。足利銀からの2度の増資要請に応じた福田昭夫知事は、県民に税金投入の理由をこう説明してきた。97年11月の北海道拓殖銀行の破綻後、北海道では資金繰りに詰まった中小企業の連鎖倒産が相次ぎ、道経済は混迷を深めたからだ。

 にもかかわらずの破綻。栃木県は破綻翌日の30日、300億円の緊急融資制度を決定するなど、地域への打撃回避に懸命だ。

 しかし、工場の海外移転や拠点集約で、製造業の雇用吸収力もかげりが見える。富士通は昨年、県内3工場で早期退職者を募集し、従業員の4割にあたる1300人が退職。足利市では今年6月に横河電機、8月に三洋電機の工場が操業を停止した。

 「お高くとまっているころもあったが、県民も甘えてぶら下がって生きてきた。だから、経済がしぼむと、そのしわ寄せを大きく受けることになった」。ある県庁OBはそうつぶやく。

 運命共同体として、頼り合い、もたれ合ってきた地域と足利銀の構図は、全国のどの地方にも共通する。それがいや応なく変革を迫られている。

 1日の株式市場では、平均株価が上昇する中で、業績の悪い地銀株は売られ、値を下げた。

 とくに、足利銀とならんで、金融庁から今年8月、業務改善命令を受けた地銀、第2地銀などの下落が目立った。しかし、これらの銀行だけが特別なのではない。

 03年3月末の地銀、第2地銀の不良債権残高は14兆7000億円となお高水準で、根雪のように減らない。前年比の減少幅はわずかに0.2%にとどまり、大手銀行が6.5%減らしたのに比べ、不良債権処理のスピードに大きな格差が出ている。地雷原は埋まったままだ。

 「地方切り捨て」批判を浴びた小泉政権は10月、地域再生本部を立ち上げ、来年2月に具体的な支援プログラムを決める方針だ。

 都市部の大企業を中心に景気回復の兆しは鮮明だが、地方経済はなお停滞色が強い。地域金融が本格的に再生しない限り、日本経済の浮上は遠い。

(朝日新聞2003年12月02日朝刊紙面)


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