H2Bロケット4号機 機体移動=JAXA提供

H2Bロケット

 2001年8月に初めて打ち上げられた日本の主力ロケットH2Aの兄弟機。09年に初号機が打ち上げられた。ISSへの補給機「こうのとり」を宇宙に運んでいる。
高さ:57m(H2Aより4m長い)/質量:530トン

2号機のフェアリング=JAXA提供

フェアリング

 衛星や補給機などを打ち上げる際、振動や大気中を飛行することによって生じる摩擦熱から守る。大気圏外に到達すると切り離されて太平洋上に落下。信号をもとに船が回収する。長さは15mでH2Aより3m長い。

5号機の1段機体

1段機体

 1段機体の直径は5.2mで、H2Aより1.2m長い。上部に液体酸素タンク、下部に液体水素タンクがあり、H2Aの1.7倍の合計約176トンが積み込まれている。

H2B3号機の固体ロケットブースター分離=JAXA提供

固体ロケットブースター

 H2A標準型は2基、H2Bは4基で1段エンジンの打ち上げ力を補う。打ち上げ1分54秒後に燃焼が終了、同2分4秒後に第1ペアが分離、同2分7秒後に第2ペアが分離される。

【動画】1段エンジンLE-7Aの燃焼試験=JAXA/三菱重工業提供

1段エンジン

 1段エンジン「LE-7A」はH2Aより1基多い2基が搭載されている。打ち上げ後5分47秒後に停止。同54秒後に1段機体とともに切り離される。

三菱重工業 石川佳太郎さん

1段エンジン点火は「リフトオフ!」の前?

 ロケットは、「リフトオフ!」のかけ声とともに打ち上がりますが、実はこの時点で点火するのは固体ロケットブースターです。1段エンジンはH2Bでは「リフトオフ!」5.2秒前、H2Aでは4.7秒前にすでに点火しています。ロケットは、固体ロケットブースターの力で初めて浮き上がります。打ち上がる前に噴き出る白い煙は水蒸気ですが、これは1段エンジン燃焼によるものです。
 1段エンジンはH2Aには1基、H2Bは2基ついています。同じ設計図で作っても各部に微妙な誤差が生まれ、二つのエンジンの推力が生まれるまで0.1秒程度の差がでることがあります。これがロケットの性能に影響を与えないよう二つのエンジンをハの字につけたり、燃料を供給する管を別々につけたりして二つのエンジンを独立して制御しやすいように工夫しています。

「こうのとり」5号機

ISS補給機「こうのとり」

 ISSに食料、水、実験装置などを運ぶ。最大6トンの物資が輸送可能で、6号機では、ISSで使用するバッテリー用のリチウムイオン電池を搭載する。電池は日本製で従来のニッケル水素電池と比べ軽くて高い出力なのが特徴。「こうのとり」は今後9号機までの打ち上げが計画されている。ISSへの物資補給は日米ロの3カ国で分担している。
本体サイズ:全長10m、直径4.4m/質量:16.5トン(打ち上げ時)/輸送目標軌道(ISSの軌道):高度350km~460km/製造費:140億円

3号機の補給キャリア与圧部=JAXA提供

補給キャリア与圧部

 密閉されて1気圧に保たれている。食料や衣服、実験装置などを運ぶ。6号機も5号機と同様、水600リットル、食料約70kgを運ぶ。
 水は「こうのとり」が打ち上げられる種子島の水を殺菌処理して搭載している。この水を再利用するなどして宇宙飛行士3人が約4カ月生活する。

6号機の非与圧部

補給キャリア非与圧部

 与圧部に対し密閉されていない。ISSの交換部品や実験装置などの船外物資を積む。他国の補給機と比べ大型の荷物を運ぶことができる。

6号機の推進モジュール内部

電気・推進モジュール

 「心臓部」にあたる電気モジュールには通信機器やバッテリーを搭載。推進モジュールには軌道変更や姿勢制御のためのエンジン32基を積んでいる。

【動画】 5号機のドッキング訓練=山本晋、吉田晋撮影

ドッキング技術

 補給機をISSのロボットアームで捕獲するランデブー・キャプチャー方式と呼ばれる方式を世界で初めて実現した。直接ドッキングさせる方法と比べ衝突の危険性が少なく、米民間企業の補給機「ドラゴン」「シグナス」でも採用されている。

三菱重工業 鷹見保博さん
ISSに積み込む水を取り込む蛇口(右)

運ぶ水は種子島から

「こうのとり」5号機が水や食糧を国際宇宙ステーション(ISS)に運びました。飲料水は600リットル積み込まれますが、実は種子島宇宙センターの水道水を処理した水です。フィルターで濾過(ろか)や殺菌などの処理をするのでミネラルはなく味もありません。どこの水でも良いのですが、積み込み、打ち上げが行われる種子島の水を利用しています。
 過去には、2011年に打ち上げられた2号機と13年の4号機がそれぞれ80リットルと480リットルを運びました。こうのとり以外では、ロシアのプログレス、米のドラゴン、シグナスといった無人補給機がありますが、補給能力はこうのとりの6トンにくらべて2~3トンと低く、こうのとりは水の輸送に適しているといえます。

00分00秒

リフトオフ

3Dで見るH2Bロケット・こうのとり

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