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12月14日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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ロケット開発 七転び八起き

写真の一部はJAXA提供

第5回 実用衛星打ち上げ、米の技術で

新島でのLSA試験ロケット打ち上げ
=JAXA提供

 1960年代、旧科学技術庁が液体ロケットと小型の固体ロケットの開発を始めた。
 科学観測を目的にする東京大学のグループに対して、旧科技庁は放送や通信に使う実用衛星の打ち上げを目指した。
 東大の固体ロケットは燃料と酸化剤を混ぜて固めた火薬を燃やして飛ぶが、液体ロケットは液体水素を液体酸素で燃やして打ち上げる。液体ロケットは、衛星を軌道にのせるためにエンジンを止めたり点火したりという調節がしやすいという特徴がある。

 旧科技庁は63年から65年、伊豆諸島の新島にある自衛隊の試射場や秋田県の道川海岸から試験ロケットを打ち上げてデータを集めた。その後、さらに広い発射場を求めて鹿児島県の種子島が選ばれた。

種子島宇宙センター=2013年11月、朝日新聞社機から


  69年に種子島宇宙センターが設立され、実用衛星の打ち上げを進めるために宇宙開発事業団(NASDA)も立ち上げられた。初代理事長には「新幹線の生みの親」といわれる島秀雄が選ばれた。
 米国などが実用衛星の打ち上げロケットの開発を早めたため、島は米国の技術を導入することに決めた。まず目指したのは、通信衛星や気象衛星をのせる高さ約3万6千キロの静止軌道に、重さ100キロの衛星を運ぶNロケットの開発だった。

もっと!島秀雄

島秀雄氏=的川さん提供

国の花だから?好きだから?

 N1ロケット1号機が軌道に運んだ衛星は「きく」と名づけられた。理由は菊が国花であることと、打ち上げ日の9月9日が長命を願って菊花の酒をくみかわす習わしのある重陽(ちょうよう)の節句だったためといわれている。
 宇宙開発事業団(NASDA)の初代理事長、島秀雄が花が大好きだったからだという説もある。その後NASDAの打ち上げる衛星には「うめ」「あやめ」など花の名前がつけられている。

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製造記録、米国に見せてもらえず

N1ロケット1号機による「きく」の打ち上げ
=JAXA提供

 N1ロケットは、1段目と補助ロケット、3段目に米国の技術を導入した。75年9月、試験衛星を軌道に乗せることに成功し、衛星は「きく」と名付けられた。
 翌年の2号機は衛星「うめ」、77年には「きく2号」を静止軌道に運んで、日本は、米国とソ連に続く世界3番目の静止衛星打ち上げ国となった。
 しかし、N1は79年と80年に衛星を軌道に乗せることに続けて失敗した。異常を起こした部品は米国製だったが、米国に図面や製造記録は見せてもらえなかった。

もっと!N1ロケット

日本が技術導入を決めた
ソー・デルタロケット
=JAXA提供

幻のQロケット計画

 Nロケット開発の前段階として、全て日本の技術でつくるQロケットの計画があった。旧科学技術庁の技術者は人工衛星を外国に頼らずに自分の力で打ち上げたいと思っていたからだ。
 高さ1000キロの軌道に重さ150キロの衛星を運ぶのが目標だった。しかし、Qロケット計画は中止になり、米国がつくったソー・デルタロケットの1段目の液体ロケットをNロケットに使うことが70年10月に決まった。

N1ロケットの1段目と2段目
=JAXA提供

 N1に続くN2は、すべて米国の技術でつくった。
 N2は81年に気象衛星「ひまわり」を打ち上げ、通信衛星や放送衛星など計8機の実用衛星を軌道にのせた。
 NASDAはN2の2段目を国産にせず、新しいエンジンの開発に力を注いだのだ。

 このようにしてつくった国産エンジン「LE-5」を2段目に使用し、米国から導入した1段目と固体補助ロケットを組み合わせたH1ロケット1号機が86年、衛星「あじさい」を軌道にのせた。
 H1は、その後新たに日本がつくった3段目の固体燃料ロケットを加えて3段式とし、92年までに計9機の衛星を軌道に乗せることに成功した。=敬称略(的川泰宣・JAXA名誉教授)

筆者プロフィール

的川泰宣(まとがわ・やすのり)

的川泰宣

1942年、広島県生まれ。東大工学部を卒業、同大大学院で糸川英夫博士に教わる。日本初の人工衛星やハレー彗星(すいせい)探査機の打ち上げに携わる。2008年にNPO法人「子ども・宇宙・未来の会」を立ち上げる。朝日新聞夕刊で毎週土曜日に「宇宙がっこう」を連載中。

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