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02月25日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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ロケット開発 七転び八起き

写真の一部はJAXA提供

第8回 人工知能が点検、すぐ打ち上げ

  固体燃料ロケットのM(ミュー)5が2006年に引退し、後継機の開発が始まった。打ち上げ費用が75億円と高額であることが引退の理由だった。イプシロンと名付けられた新型機は組み立ての時間を短くするために部品を減らしたり、打ち上げ前の点検作業をロケットに積んだ人工知能にさせたりして大幅に省力化した。 

イプシロン打ち上げの管制の様子
=JAXA提供

 第1段を発射台に立ててから打ち上げまでM5は約2カ月かかったが、イプシロンは1週間に短縮された。打ち上げの管制もパソコン2台でできるようになり、費用はM5の半分以下になった。
 イプシロン1号機は13年9月、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、惑星観測衛星「ひさき」を軌道にのせた。

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もっと!イプシロンの名前の由来

打ち上げのリハーサル
=JAXA提供

技術継承の意味を込めて

  日本の固体燃料ロケットの名前は、K(カッパ)、L(ラムダ)、M(ミュー)とギリシャ文字が使われてきた。Mの後継機もΕ(イプシロン)と命名された。日本のロケット技術を受け継いでいるという意味が込められた。
 人工知能を活用した、これまでにないロケットをつくって宇宙に挑むという意味もある。Evolution&Excellence(技術の革新・発展)、Exploration(宇宙の探査)、Education(技術者の育成)の頭文字からEをとった。

 打ち上げ費用を抑える動きは液体燃料ロケットにも及んでいる。H2AやH2Bを1機打ち上げるのに85億円から100億円かかる。世界の平均より3割くらい高いため、人工衛星打ち上げの受注競争には不利だ。そこで、次期大型基幹ロケットとなるH3の開発を14年度から始めることを決めた。

次期大型基幹ロケットで検討されている機体
=JAXA提供

 H3は2段式で全長はH2Aと同じ約50メートル。1段目の主エンジンはLEXと呼ばれる製造費を抑えた新型を開発中だ。
 機体の側面につける固体燃料の補助ブースターはイプシロンの2段目を使う。打ち上げ費用はH2Aの約半分を目指し、20年の打ち上げを目標にしている。

垂直方向への離着陸実験をするロケット
=JAXA提供

観光宇宙船も研究中

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が将来の宇宙旅行を目指して基礎的な研究をしている乗り物が二つある。
 一つはロケットエンジンで垂直に離着陸するロケットで、秋田県の能代実験場でテスト飛行に成功している。
 開発の予算が十分につかないが、まずは観測ロケットとして打ち上げ、将来は大型化して人間を運べるようになることが期待される。

もっと!宇宙観光

将来は観光客を乗せて宇宙へ飛び立つ
 ロケットが研究されている
=JAXA提供

窓から宇宙の景色

  JAXAが研究している、垂直に離着陸する乗り物は、宇宙への観光旅行を想定している。直径18メートル、長さ22メートルのおむすびのような形の機体には、液体酸素と液体水素を使うエンジンが12基ついている。定員は54人だ。
 高さ200キロの軌道を2周することができ、窓から宇宙の景色が楽しめる。料金は1人当たり約300万円。幕末の1855年に登場した日本初の蒸気船「観光丸」の名がつけられている。

スペースプレーン構想図
=JAXA提供

 もう一つは、航空機のように水平に飛んで宇宙を目指す乗り物だ。
 ジェットエンジンで離陸し、約10キロの上空でロケットエンジンに切り替えて宇宙空間を飛ぶ。スペースプレーンと名付けられた。
 実現すると太平洋を2、3時間で横断できる。1段目はジェットエンジン、2段目はロケットエンジンの2段式の構想もある。1、2段目ともに地上に帰還できるように研究が進められている。宇宙がより身近になる計画だ。
=おわり(的川泰宣・JAXA名誉教授)

筆者プロフィール

的川泰宣(まとがわ・やすのり)

的川泰宣

1942年、広島県生まれ。東大工学部を卒業、同大大学院で糸川英夫博士に教わる。日本初の人工衛星やハレー彗星(すいせい)探査機の打ち上げに携わる。2008年にNPO法人「子ども・宇宙・未来の会」を立ち上げる。朝日新聞夕刊で毎週土曜日に「宇宙がっこう」を連載中。

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