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12月17日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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災害大国 あすへの備え

風水害

新たな脅威

 伊勢湾台風、枕崎台風、室戸台風――。日本では半世紀前まで、千人を超える犠牲者が出る風水害が繰り返されてきた。近年は治水や天気予報が発達し大きな水害は減ったが、新たな脅威にも直面している。地盤沈下による低地の増加、増える集中豪雨、拡大した地下街への浸水。気象災害にどう備えればいいのか。

【1】都市部を襲った主な風水害と台風の経路

洪水が押し寄せた亀戸周辺(東京都江東区)=国土交通省荒川下流河川事務所提供

堤防の老朽化 管理が課題

 【合田禄】1910年、梅雨前線による雨と、8月11日に房総半島沖を通過した台風に加え、14日に静岡県沼津付近に上陸した台風のため関東地方は豪雨に見舞われた。

 利根川や荒川などで氾濫(はんらん)が相次ぎ、上流域では土砂災害もあって、関東地方で769人が死亡、78人が行方不明となった。流失家屋は2796戸にのぼった。

 東京では現在の北区、荒川区、足立区、葛飾区、台東区、墨田区、江東区などで浸水。宮村忠・関東学院大名誉教授(河川工学)によると、当時は川が氾濫することを前提としていた地域もあったが、市街地への流入を防ぐ隅田堤の一部が決壊、被害が広がったという。

 この水害を受け、政府は20年かけて全長22キロ、幅500メートルの人工河川「荒川放水路」を造った。堤防も増え、氾濫が繰り返されてきた地域にも市街地が形成されるようになった。宮村名誉教授は「水害は減ったが、建設からかなりの時間が経っている堤防もある。維持管理に力を入れることが必要になっている」と指摘している。

■ 地盤沈下・増える豪雨・地下街の拡大…高まる都市のリスク

台風6号(2012年7月17日)気象庁提供

 東京、大阪、名古屋の3大都市圏が最後に大規模に浸水する高潮に見舞われたのは20世紀の半ば以前だ。1959年の伊勢湾台風までは、58年の狩野川台風、53年の南紀豪雨、47年のカスリーン台風など千人以上が犠牲になる風水害が相次いだ。

 戦後、水害対策は充実したが、国土技術政策総合研究所の上総周平所長は「災害が減ったのは堤防や水門整備の効果もあるが、たまたま大きな台風の直撃を免れた幸運が大きい」と話す。

 この間、様々な機能の都市への集中が進み、3大都市圏の人口や国内総生産(GDP)は全国の半数を超える。地下水のくみ上げによる地盤沈下も進み、標高ゼロメートル地帯は577平方キロに広がり、そこに400万人が住んでいる。商店街や地下鉄など地下の利用も増え、水害に見舞われた場合の影響は拡大した。

 内閣府や国土交通省は大規模な水害の被害想定をしている。室戸や伊勢湾台風級の台風が最悪のコースで襲来した場合、東京湾岸では最大230万人が浸水被害を受け、死者は7600人。大阪湾岸では165万人が浸水被害、要避難者は102万人。伊勢湾岸では浸水域内に240万人、要避難者は57万人にのぼると予測している。

 近年は短時間の豪雨が増加したと指摘され、地球温暖化が進めば海面は上昇、台風は大型化すると懸念されている。近年では93年の豪雨、2004年の台風23号、11年の台風12号による被害もあり、それぞれ100人近くが犠牲になった。

 関西大の河田恵昭教授は「水害を受けてきた土地の歴史を知らない人が非常に増えた。歴史は繰り返す。最悪の場合にどうなるかの情報を共有して備える必要がある」と警鐘を鳴らす。

(編集委員・黒沢大陸)

【2】風水害の危険が迫ってきたら

テレビやラジオ、インターネットなどで気象情報をよく確認、早めの避難を。 水害の緊急時、切迫時には、自宅の2階など「垂直避難」も

【3】日ごろから危機意識を持ち、非常時の行動を想定しよう

弟子丸卓也(でしまる・たくや)
気象庁気象防災推進室長

 日ごろ家や職場、学校、通勤通学路が何に対して危ないのか想像力を働かせて考え、災害時の行動を事前に決めておくと、非常時に早めに動ける。自宅は低い土地か、近くに崖や大雨であふれそうな小川や水路がないか。浸水した地下室は水圧で戸が開かなくなる恐れがある。ビル風でけがをする人もいる。

 昨年の九州北部豪雨のように、急に雨が強くなって何時間も続き、避難所に行く余裕がないこともある。いよいよ危機が迫った段階では誰も助けに来てくれない。いざという時に短時間で身を守ることを考えてほしい。

 避難所に行くのが危険なこともある。雨が強くなって道路に水が流れ、川との境がわからなくなった道を移動するのは危険だ。本当に安全に避難場所に行けるのか考えてほしい。近くに頑丈な建物があれば避難させてもらうのも一つ。様子を見て、何が一番安全かを考えて行動してほしい。避難に時間がかかる人は、早めの行動が大切だ。

 近所で声をかけあって一緒に行動するのもよい方法だ。適切な避難場所を知る人がいるかも知れない。助けを呼ぶ時の役割分担もでき、最も安全なお宅に退避できる。不安もやわらぐ。

 災害にはめったに遭わないから、警報が出ても自分のことと思わない。よその地域の災害が報道された時、身近で起きた場合に置き換えて頭の体操をするのも大切だ。

 開けた場所でやる野外スポーツは逃げ場がないこともある。天気予報を見て、大気が不安定で雷や竜巻の恐れがあるときは慎重な判断が必要だ。雷注意報が出たら避難するなど、事前に考えておく必要がある。竜巻注意情報が出た段階だとかなり切迫している。昨年のつくばの竜巻のように、積乱雲の移動が速く、晴れていても10分で竜巻が来ることがある。底が真っ黒な雲が近づいてきたら、見ている場合ではなく、すぐに避難しなければいけない。

 現在の雨や雷、竜巻の状況がわかる気象庁や気象会社のウェブサイトを、携帯端末で1時間に1回ぐらい見れば、雨雲の接近を確認できる。

災害大国 被害に学ぶ

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過去の災害の被害や将来の被害想定から、必要な対策を探り、備えに役立つ情報をお伝えします。

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阪神大震災 阪神大震災

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  • 「表面・関東大震災俯瞰図絵」ビューアーへ
  • 「裏面・震災後の一年間」ビューアーへ

◆ 地震動予測地図

地震調査研究推進本部の資料から

◆ 女子組版「災害時連絡カード」

印刷して切り抜き、財布などに入れてお使いください

 鹿児島県・口永良部島で29日、噴火があった。箱根山では火山性地震が増え、噴火警戒レベルが引き上げられた。昨年は御嶽山が噴火、桜島や西之島は活発に噴火を続け、蔵王山でも地震が増加、日本が火山列島だと痛感している。…[続きを読む]

著者:朝日新聞社 価格: ¥1,680

 朝日新聞のシリーズ企画「災害大国 迫る危機」が本になりました。活断層、津波、地盤、斜面災害、インフラ、火山のリスクを地域ごとに示した大型グラフィックや対策の現状などを収録。書籍化のために各地域の災害史を書き下ろしました。いつ見舞われるか分からない災害の備えとして役立ちます。B4判変型(縦240ミリ、横260ミリ)でオールカラー、120ページ。

日本列島ハザードマップ 災害大国・迫る危機

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