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【サウジ襲撃事件】
 
石油産業がテロ標的に、投資リスク増す サウジ襲撃

サウジアラビアで起きた近年の主なテロ事件
サウジアラビアで起きた近年の主なテロ事件

 サウジアラビアのアルコバールで起きた外国企業襲撃事件は、国際テロ組織アルカイダ系武装集団が、5月1日のテロに続いてサウジの石油産業を標的にした。イラク戦争後、サウジには米国から治安強化の圧力がかかり、一方で国内では反米感情が高まる。最大の産油国サウジで石油産業を狙ったテロが続けば、世界や日本経済にも大きな影響を与える。

●反米あおる

 「外国人の入国を妨げ、混乱を引き起こし、経済を悪化させようとする者たちの犯行だ」

 サウジの政治を実質的に切り盛りするアブドラ皇太子は29日夕、王族や政府高官、大学関係者を王宮に招き、犯行グループを非難したうえで、治安強化を訴えた。「道を外れたことをする者たちを監視し、治安機関に通報するよう人々に周知徹底させよ」。サウジ系有力紙アッシャルクルアウサト紙が伝える皇太子の演説は、危機感に満ちている。

 アルコバールの襲撃事件について、バンダル駐米サウジ大使は「犯人グループはアルカイダに属する」と米テレビで語った。事件発生直後、インターネットのイスラム系サイトにアルカイダを名乗る犯行声明が出た。「イスラム教徒の富を収奪している」として外国石油企業を標的としたことを表明したが、同時に「米国と協力する背教的指導者たち」と政権を非難した。

 米同時多発テロの自爆実行犯19人のうち15人がサウジ人。首謀者とされるオサマ・ビンラディン氏もサウジ生まれ。米国はサウジに過激派取り締まりを求めた。

 だがサウジが過激派対策に本腰を入れたのは、イラク戦争で米国が世界2位の石油埋蔵量を持つイラクを押さえ、サウジ離れの姿勢を見せてからだ。米国を頼みとするサウジ王家にとって、米国が求める過激派撲滅を実施できるかどうかが、政権存続にかかわる問題となった。リヤドやメディナなど大都市で、治安部隊による過激派拠点の摘発や、過激派グループと治安部隊の銃撃戦が頻発するようになった。

 過激派側の反発も大きい。今年4月、リヤドの内務省施設を狙った自爆テロは、治安強化に対する過激派の報復との見方が出た。サウジ当局はこの事件を「アルカイダ系組織が関与した」と発表した。事件は、イスラム過激派が初めてサウジ政府を標的にしたとして衝撃を与えた。

 サウジ当局は、米国からの対テロ戦争遂行の外圧と、米国の中東政策に対する国内世論の反発という内圧に挟まれている。

 アルカイダにとってサウジは、イエメンなどと並んで最後の拠点だ。対テロ戦争が世界的に広がり、アフガニスタンや欧州を追われた多くのアルカイダのメンバーがサウジに戻り、国内で組織の再建を図っているとされる。5月1日にサウジ西部ヤンブーで起きた外国企業襲撃事件を指揮したとされるアルアンサリ氏は、アフガンのアルカイダ最後の拠点となったトラボラで、ビンラディン氏とともに戦った経験を持つという。

 イスラム過激派に詳しいアハラム戦略研究所のディーア・ラシュワン氏は「サウジでは、イラクで起きていることに関して反米感情が強まっている。米国による中東民主化への反発も強い。欧米を標的にするアルカイダ系の組織に、一般の若者が容易に参加する雰囲気が広がっている」と語る。

 「ここまで大がかりなテロが起きるのか。深刻に受け止めている」。今月9日にサウジの国営石油会社「サウジ・アラムコ」と共同でサウジ国内に世界最大の石油精製・石油化学の一貫プラントを造ると発表した住友化学工業の幹部はショックを隠せない。

●「世界がこける」

 総投資額は5千億円で、半分を住友化学が出す計画だ。中東情勢が悪化する中でこの地域への投資にはリスクが伴う。それでも米倉弘昌社長は「サウジがこければ世界がこける。世界中のどこであっても危険はある。施設の破壊はサウジではないと見ている」と語っていた。それだけに、今回の石油企業を狙うテロは、今後詰める計画に影を落としかねない。

 事件があったアルコバールに事務所を置く出光興産は30日、駐在社員3人と家族6人に対し、隣国アラブ首長国連邦に避難するように指示した。新日本石油では駐在員15人が襲撃を受けた外国人居住区に住んでいた。全員無事が確認されたが、今後の対応をサウジの技術供与先と話し合って決めるという。

 「サウジが6月に日量910万バレルを生産し、さらに最大1050万バレル生産する用意もあると表明してくれた」。エーブラハム米エネルギー長官は1週間前の23日、サウジアラビアのヌアイミ石油相と会談した後、記者団に満足げに語った。

 夏場のドライブシーズンの到来でガソリン価格の高騰に悩む米ブッシュ政権は、大統領選を控えなんとか油価を下げたい。サウジはそんな米国からの「要請」を受けて、石油輸出国機構(OPEC)の生産枠拡大の旗を振り、自らも生産を増やしつつあった。

 原油価格は中東情勢の混乱が広がったことで、イラク戦争後の1年間で6割上昇した。ニューヨークの原油先物価格は今、1バレル(159リットル)当たり40ドル程度で推移している。このうち5ドル以上が「テロ・プレミアム(上乗せ価格)」と言われる。

 今回のサウジでの石油企業を狙ったテロ攻撃で、日本の石油業界にも「その幅がさらに広がるのは避けられない」(大手元売り会社)との懸念が高まっている。週明けの原油相場の高騰は必至だが、その影響が長引けば世界経済にとって大きなマイナス要因になる。 (05/31 09:29)


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