誠実、信念、耳傾けること学ぶ

アミーナ・モハメッド氏 2017/11/21

質疑応答。

開発途上国はどうすればもっと経済的に自立できるのでしょうか。モノカルチャーの経済から発展できないために苦しんでいる国もあります。資源が重要な役割を果たす一方で、それ以外の方法で発展することはできるのでしょうか。小田切文(桜蔭高校2年)

自国に資源がある開発途上国は数多くありますが、援助が必要な場合もあります。国内資源の重要性は高まっていくでしょうが、それよりもっと必要なのは、インフラ整備や産業化を進める海外からの直接投資です。ところが、直接投資の受け入れが困難な途上国が多いのです。社会制度とガバナンスが弱く、汚職も起きるからです。事業に取り組む能力も不足しています。つまり、教育制度と人材を育成する力が弱いのです。援助と自国の資源の活用、海外からの直接投資に加え、それらを活用する能力が必要です。そうしなければ、開発を効果的に進めることはできません。

アラブ首長国連邦について話しましょう。この国は、海外から驚くほど多くの専門家を招き、発展を遂げました。何十年もかけて実現したわけですが、当初から、自国の人々の訓練も行っていました。そのおかげで資源を使って発展する国、国民を訓練する国になりました。そして今は非化石燃料エネルギー、つまり再生エネルギーにも投資している国です。当初のやり方では持続可能でないことに気づき、新しい未来に目を向けているのです。

トークを聴く高校生たち

SDGsを達成するには、各国、各地域、各企業で、強力なリーダーシップが必要だと思います。リーダーに不可欠な資質とは何でしょうか。そして、そのようなリーダーになるためには、高校生や大学生は何を学び、どのような経験をすればよいでしょうか。小柳菜生子(豊島岡女子学園高校3年)

二つあります。一つは誠実であること。誠実さは一度手放せば、二度と手に入れられないものです。二番目には自分の信念を通すための勇気です。誰かのために良いことをしようとするのなら、やり通さなくてはならない。そのためには大変な勇気がいります。もう一つ加えたいと思います。人々の話に耳を傾け、その人たちの生活を(よい方向に)変えようとすることです。困っている人がいたらその脇を通り過ぎることができない。置き去りにされている人がいないかを確かめるために、立ち止まるか引き返す。大事なのは、誠実であること、自分の信念に従って行動すること、そして誰も置き去りにしないことだと思います。(構成・北郷美由紀、撮影・長島一浩)

国谷裕子くにやひろこ
1979年米ブラウン大卒。93年~2016年、NHK総合「クローズアップ現代」を担当し、98年に放送ウーマン賞、02年に菊池寛賞、11年日本記者クラブ賞などを受賞。近著に「キャスターという仕事」(岩波新書)。
アミーナ・モハメッド氏Amina J. Mohammed

1961年生まれ。前職はナイジェリア環境大臣。国連のポスト2015開発アジェンダ担当特別顧問として事務総長を補佐し、SDGsを明記した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の合意に大きな役割を果たした。2017年2月から現職。