働き方改革、女性の活躍のためにも

村木厚子氏 2017/12/28

人々が子育てや介護などの事情に合わせて選んで働くことができ、やりがいを感じることができる。そんな働き方の実現は、実は持続的な経済成長にもつながっている。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の8番目の目標は、「働きがいも、経済成長も」。国谷裕子さんと、厚労省の事務次官を務めた村木厚子さんが、目標に近づくために必要なことを話し合った。

働き方改革は、女性活躍を進めるためにも避けては通れない。なぜなら、職場を100メートル走にたとえると、「女性の場合は障害物競走になっているからだ」と村木さん。長時間労働が解消されることだけが、改革ではない。時々の事情に応じた働き方をできるようにするには、働く人たちも戦わないといけない。対談では、重要な指摘があいついだ。

村木さんは退官後、若い女性の貧困や性的搾取の問題に取り組んでいる。「公的な支援はJKビジネスに負けている」と言われ、返す言葉がなかったという。SDGsの目標5である「ジェンダー平等の実現」に深くかかわる問題。この目標に近づくことはそのまま、働き方を変える力になるという点でも一致した。

労働行政に長年携わり事務方のトップまで務めた村木厚子さんは、働き方改革は、女性の活躍を促すなかで必然的に生まれた流れだったと解説する。

出産後、残業が前提となっているフルタイムの仕事に女性は戻りづらい。短時間勤務を選ぶと、今度は昇進に差がつく。男性も女性も長時間労働をしないことを当たり前にしたい(国谷)

男女雇用機会均等法ができて女性は賞金の高いレースに参加できるようになったが、今は100メートル走と100メートル障害物競走をいっしょにやっているようなもの。いろいろな人がいろいろな働き方をできるためには、そうした働き方をフェアに評価する仕組みを作れるかが勝負(村木)

働き方をめぐる今の議論は、過労死に至るような長時間労働を防ぐことに焦点があたっていて、働きがいなどについての考察が足りないとする指摘もあった。

議論が遠いところからスタートしてしまっている(国谷)

労働基準法に違反したら、刑事罰がかかる。そうしたラインと目指す働き方をつくることはやや違う。これまで労使がいっしょに長く働くことを認めてきてしまった。労働条件は戦って勝ち取らないと(村木)

(構成・北郷美由紀、撮影・角野貴之)

国谷裕子くにやひろこ
1979年米ブラウン大卒。93年~2016年、NHK総合「クローズアップ現代」を担当し、98年に放送ウーマン賞、02年に菊池寛賞、11年日本記者クラブ賞などを受賞。近著に「キャスターという仕事」(岩波新書)。
村木厚子氏Atsuko Muraki

津田塾大学客員教授 元厚生労働事務次官。累犯障害者を支える「共生社会を創る愛の基金」、若い女性を支える「若草プロジェクト」で活動中。