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南シナ海緊張 ベトナム漁船拿捕、中国の船員拘束続く

2010年10月9日7時23分

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 【バンコク=古田大輔、シンガポール=塚本和人】南シナ海のパラセル(西沙)諸島の領有権をめぐり、中国とベトナムの緊張が再び高まっている。同諸島の周辺海域で9月11日にベトナム漁船が中国当局に拿捕(だほ)され、乗組員9人が拘束される事件が発生。ベトナム側は抗議を続けているが、乗組員の解放に至っていないためだ。

 南シナ海ではパラセル諸島やスプラトリー(南沙)諸島の領有権をめぐり、海洋権益の拡大を目指す姿勢を強める中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部の国が対立している。特に中国当局によるベトナム漁船の拿捕はここのところ頻発しており、今月12日にハノイで開催予定のASEAN10カ国と日中米ロなど8カ国が初めて参加する拡大国防相会議でも焦点となる可能性がある。

 国営ベトナム通信によると、拿捕されたのはベトナム中部クアンガイ省の漁船1隻。両国政府は発生直後から外交ルートを通じて交渉を続けていた。そんななかで、ベトナム外務省が今月5日に在ハノイの中国大使館に対し、ベトナムの主権を主張したうえで拿捕と拘束にあらためて抗議したことを、同通信が明らかにした。

 ベトナム当局者によると、中国側は「漁船が爆発物を使った漁をしていた」との理由で漁船所有者に罰金の支払いを求め、払えば乗組員と船を解放すると伝えた。ベトナム側は「漁船はベトナム領海内で通常の漁をしていた」とし、乗組員9人の即時無条件の解放を要求。同当局者は、中国側から当初受け取っていた報告書には漁船が爆発物を積載していたことに触れていなかった点を挙げ、罰金の支払い命令に対して「理性を失っている」と批判したという。

 南シナ海の軍事情勢やベトナム政治に詳しいオーストラリア国防アカデミーのカール・セアー教授は「今回のベトナムの抗議のコメントはこれまでで最も強い」と指摘。その背景としてベトナムでは中国の経済的、軍事的な存在感が高まるにつれ、エリート層の間に反中感情が高まっていることから、指導部人事が協議されるとみられる来年のベトナム共産党大会を控えて対中外交で強い態度をとらざるをえなくなっていると分析する。これまでベトナムは表立っては、強い中国批判を控えてきた。

 シンガポールのシンクタンク、東南アジア研究所のイアン・ストーリー特別研究員は「ベトナム政府は、東シナ海の尖閣諸島沖で逮捕された中国人船長の無条件解放を日本に求めた中国政府と同じように、ベトナム人漁師の無条件解放を要求することで中国の二重基準を強調しようとしている」と分析する。中国が南シナ海では自国船舶の航行の権利を主張する一方で、東シナ海では日本船の航行の権利を否定するという矛盾した姿勢を浮き彫りにさせる狙いだとの見方だ。

 中国は昨年以降、パラセル諸島海域に漁業監視船を派遣。セアー教授の調べによると、今年に入って中国当局に拘束されたベトナム人漁師は40人余りにのぼるという。

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