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10月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 2 東京五輪って、どうなの? 「庄説」

元高校球児で、自他ともに認めるスポーツ好きの「品川庄司」の庄司智春。
2020年東京五輪開催が決まった朝は、大喜びだった。
ところが新聞を読むうちに、頭の中が疑問符だらけになってしまった。

スポーツ論説担当の稲垣康介編集委員に、 その疑問を思いっきりぶつけた庄司。
2本目の「庄説」を書き上げた。

僕らもしっかり歩きだそう

やったぞ、TOKYO!
7年後の2020年、東京にオリンピックとパラリンピックがやってくる。
最高にうれしい!ワクワクする!
オリンピックやパラリンピックを生で見たい。
息子にも、生で見せたい。
スポーツを愛する全ての人の夢が、現実に変わろうとしている。

僕はそれがうれしくて、お祭り騒ぎをしている国民の1人にすぎなかった。
新聞を読むまでは。
新聞を読んでみると、どうも浮かれている場合ではなさそうなのだ。
果たして7年後、無事に大会は開かれるのか。
海外からのお客様に、十分な「おもてなし」はできるのだろうか?

これから東京は慌ただしくなる。
まずメーン競技場となる国立競技場の建て直し。
レーンも観覧席も増やし、世界一の競技場を目標につくるらしい。
自分の国に世界一の競技場があったらうれしいし、この目で見てみたいと思う。
しかし巨額のお金が必要だ。
文部科学省が示した予算は、なんと1852億円!
しかもこれだけではすまないらしい。
選手村を建てるのに、954億円。
選手村と競技場を結ぶ環状道などの整備に5522億円。
有明アリーナに176億円。
水泳会場に321億円。
バドミントンやバスケットボールの会場に364億円……。
ざっとあげただけで、こんなにある。
とにかく、スゲーお金使うんだねって話です。

聞くところによると、日本には今、とんでもない額の借金があるんでしょ?
アベノミクスと言うものでまかなえるのかな?
税金が増えるのかな?
大会が終わった後の日本はどうなるのかな?
水泳や体操などの会場を仮設にしたり、大会後は選手村を住宅にしたり。
いろいろ考えてはいるらしいが、足りない気がする。
大丈夫なのか、と思う僕はバカなのでしょうか。

オリンピックを2回以上開催した都市は、東京で5カ国目。
オリンピックは「2周目」に入っている。
「1周目」の1964年と今とでは、東京の経済状況も環境も、大きく違う。
人口もそうだ。
64年の都内の15歳未満の人口は、65歳以上の5倍もいたが、今は約半分。
若者というより、お年寄りがスポーツを楽しめるように、
バリアフリー化を急ぐ必要がありそうだ。
これから先、多くの国が、同じように高齢化の道をたどると言われている。
同じ巨額のお金を使うなら、いっそ高齢化時代の新しい「形」を世界に見せ、
「2周目」を先頭で引っ張っていく、というわけにはいかないだろうか。

例えば、競技場の観覧席。
ゲートからの距離を短くしたり、動く歩道を導入したりして、
高齢者が来場しやすいシルバーゾーンをつくれないだろうか。
もちろん観戦しやすい場所にだ。
たくさんの高齢者に生で観戦してもらい、若きころのパワーをよみがえらせていただくのだ。

話を戻そう。
東京オリンピックは、びっくりするほど問題が山積みだ。
だが招致した以上、責任を持って、事を進めてほしい。
大会までの7年間。
そして大会後も。

安倍首相は、福島第一原発の汚染水について、
「状況はコントロールされている」と発言したけど、
もし、これが招致のための方便だったら
「おもてなし」どころか「ろくでなし」の「ひとでなし」だ。
日本はこれまで、オリンピックでドーピング違反者を出したことがないという。
でも、安倍首相のこの言葉は、ドーピング違反みたいなものじゃないんだろうか。
この大会は、ただのお祭り騒ぎで迎えるのではなく、
置かれた状況や問題点をわかった上で、
ちゃんと準備を整えて「おもてなし」するべきだと僕は思う。
首相の言葉を「ドーピング違反」にしてしまわないためにも。

それには、どうすればいいのか。
まずは、汚染水問題をはじめ、今の日本や東京の本当のことを国民が知ること。
そして7年後とその先へのプランを熟知して、しっかり見守ること。

僕自身も、日本がこれから、どうやって大会を成功に持ち込むのかに
注目していきたいと思っている。
オリンピックやパラリンピックの仕事に呼んでもらえるように、
競技や選手のことを勉強しながら。

論説委員から

  •  新聞に赤線を引き、がっちり「予習」してきた庄司さん。朝日の社説の残像がちらつきつつ、手堅くまとめてきたな。それが読後感です。
     対談のとき、「息子さんが大きくなったとき、日本ってどんな国になってますかね?」と水を向けたときから、庄司さんの脳みそが活性化された気がしました。父の自覚ってやつですね。そう、五輪って「夢と感動をありがとう!」でお開きのお祭りではすまない。施設の後利用も考えないと、将来の世代に負担のしわ寄せがいく。「庄説」が主張するように「7年後とその先へのプランを熟知して、しっかり見守ること」が欠かせません。
     新国立競技場の建て替えも、見直しを求める世論が高まって、当初より2割ほど規模が縮小されたし。
     競技場の観客席について「動く歩道を造り、高齢者が来場しやすいシルバーゾーンの導入」なんて、高齢化社会を見すえたナイスアイデア。
     私もよく見るテレ朝の「アメトーーク!」で「東京五輪が気になる芸人」、やってほしいな。(稲垣康介)

論説委員プロフィール稲垣 康介

1992年入社。スポーツ部、欧州総局(ロンドン)、アテネ駐在などを経て、2011年から編集委員。スポーツ社説も担当。五輪取材は1998年長野冬季大会からで来年2月のソチ大会で夏冬6回目となる。ツイッターアカウントは@Inagaki7K

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