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10月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 3 特定秘密保護法って? 庄司vs.論説委員 前編

「その答えは……言えません。秘密です」

特定秘密保護法の成立が近づいていた昨年12月4日。
東京・築地の朝日新聞東京本社で、この法律についてのニュース指南が始まった直後、
小村田義之論説委員の口から、どこかで聞いたことがあるようなフレーズが飛び出した。

あっけにとられる庄司智春に、小村田は言った。

「特定秘密保護法をつくるということは、
『それは秘密ですから』の一言で、話が終わっちゃうことが増える、っていうことなんですよ」

わかったような、わからないような。
すると、小村田は、新聞を取り出した。

黒塗りの社説

「先日僕が担当した社説ですが。黒塗りにしてあります。
この法律が施行されたらこうなる恐れがあるっていうことで。
まあ、ちょっとしたブラックジョークのつもりだったんですけど」

10月30日の社説で黒塗りにされたのは「首相動静」など。
首相が、前日に誰と会い、何をしたかの記録で、多くの新聞が長い間、毎日載せてきたものだ。

「この動静は、今でも秘密にしたいところは秘密になってるんです。
それでも、小池百合子・元防衛相は、
『首相の動静を公開するのは、安全保障上問題じゃないか』と。
この法律では、行政機関の長が『秘密』を決めるので、
この人が現役の大臣だったら、このひとことで秘密にされかねませんし、
万が一そうなれば、秘密にしたことが正しいかどうかもチェックできないわけです。
まあ実際には、これが特定秘密にされるとはとても思えませんが」

もしかして……

「もしかして……」、庄司は言った。
「例えば国会中継も、『ピー音』鳴りっぱなしになっちゃったりするんですか」

「特定秘密は、非公開の秘密会で扱うことになるので、国会中継自体ないでしょうけどね。
でも、秘密会にさえ、行政機関の長が『出せません』と言えば、その秘密は出てきません」

庄司、がくぜん。
「ピー音」が鳴れば、ああ、ここは秘密なんだ、ってことはわかるのに、
それすら確認できないのか。

「秘密会に出た人が、秘書に『こういう資料見たんだけどさ』としゃべったり、
同僚に『こんなのが出たけど、どう思う?』って言ったりすれば、
国会議員でも逮捕されかねない。
警察が監視してますのでね。
でも、警察の監視がどこまで及ぶのか、
どんな人がどういう場合に逮捕されるのか、
よくわからないのが実情です」

「秘密」を守る理由

それほど厳重に「秘密」を守って、国民に何のいいことがあるのだろう。
小村田によると、こういうことらしい。

中国が軍事的に強大化し、東アジア情勢の緊張が増している。
安倍政権は、日米の連携を強める必要性が増し、
自衛隊も、より活発に動く必要が出てきた、と判断して、急速に準備を進めている。
そのひとつ、国家安全保障会議(日本版NSC)が、
4日に発足するのに間に合わせようと、特定秘密保護法の成立を急いだのだ。

日本には秘密保護法制自体はあるのだが、
アメリカから強化を求められており、
日本は安心して機密情報をやりとりできる国になるとアピールする必要があった、ということらしい。

「でも、日本に強い秘密保護法制がないからといって、
アメリカが大事な情報を全然教えない、ということはないし、
逆に、法律ができたからって全部教えることもないんですけどね」

ますます、わからない。
秘密保護法は、必要なの?必要ないの?

はたして庄司の疑問は解けるのか。次回は、1月16日ごろに配信の予定です。

論説委員プロフィール小村田義之(こむらた・よしゆき)

茨城県出身。地元の日立製作所をやめて1992年に入社。政治部で自民党、公明党、外務省、旧防衛庁を担当。米スティムソン・センターの客員研究員も。ワシントン特派員として2008年にオバマ氏が勝利した大統領選を取材したが、英語より茨城弁が得意。

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