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12月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 3 特定秘密保護法って? 「庄説」

いくら新聞を読んでも、ピンとこなかった秘密保護法。
国会審議の終結が猛スピードで迫るなか、
庄司智春は、このわかりにくい法律に果敢に挑み、
「庄説」を書き上げた。

日本の未来、考えたい

昨年12月6日、特定秘密保護法が成立した。
衆議院で、この法案の審議が始まったのは11月7日。
それから、1カ月もたっていなかった。
とても重要なはずのこの法律が、猛スピードで、しかも強行採決に次ぐ強行採決で成立したことに、僕は本当に驚いた。
早すぎてついていけない。
訳がわからない。
それが、正直な感想です。

特定秘密保護法とは、防衛・外交・スパイ活動などの防止・テロ防止の四つの分野で、閣僚ら行政機関の長が「特定秘密」を指定する。
その「特定秘密」を漏洩(ろうえい)した公務員、民間人は、最長10年の懲役を科されることになる、という法律だ。

ただ、この法律、秘密が秘密なのだ。
何が秘密かもわからなくなるっていうことが、とにかく怖い。
国会中継も、「ピー音」だらけで放送されるのかと思ったら、
特定秘密は、非公開の秘密会で審議するから、中継自体がないという。
秘密のカーテンの中で何が行われているかも、わからないわけだ。

しかも、いったん秘密に「特定」されてしまうと、原則として60年間は情報公開しなくてよくなる。
さらに「政令で定める重要な情報」など7項目の例外にあてはまると、半永久的に秘密にしておくことだってできるようになってしまった。
「予定していた国会中継は、特定秘密を扱うため、放送できません。
60年後の特定秘密開示スペシャルでお会いしましょう」
なんて言われてもピンと来ないし、
「開示スペシャル」が放送されない可能性だって、あるということなのだ。

新聞やテレビの世論調査は、反対多数だった。
11月の下旬ごろからは、連日デモも行われていた。
それでも政府は、成立を急いだ。

秘密保護の法律強化を米に求められていたから。
日本版NSC(国家安全保障会議)を作ったから。
情報を持つことで「強い国」にしたいから……聞くところによると、そういった理由らしい。
たしかに、弱い国よりは「強い国」の方が、国民を守れるのかもしれないし、
この法律も、本当に国民を守るためのものなんだと実感できれば、反対する理由はなくなるかもしれない。
でも、少なくとも、政府の説明は、僕にはさっぱりピンとこなかった。

なぜ、ここまでして、特定秘密保護法の成立を急いだのか。
日本にとって、国民にとって、どんなメリットがあるのか。
説明不十分で納得いかないまま、強引に押し切られてしまった、というのが実感だ。
結局のところ、この法律で守られて安心するはずの国民の多くが、不安になってしまった気がするのは僕だけでしょうか。

安倍首相は、法律成立3日後の12月9日、こうコメントした。
「国民の叱正(しっせい)だと謙虚に真摯(しんし)に受け止めなければならない。
私自身がもっと丁寧に時間をとって説明すべきであったと反省もしている」

ズルいよ。
法律が成立した後にこのコメントはない、と思う。
今からでもいい。
ちゃんと説明してほしい、と思う。
僕みたいなバカでもわかるように。

最初は、ささいな変化かもしれない。
しかし、今後、取材なども萎縮して、情報の幅が狭くなると、国民の知る権利が損なわれるのではないだろうか。

僕らは、特定秘密保護法を見守っていかなければいけない。
見守る、というより、見張る、かもしれない。
今後、いま心配されているようなことが起こらないように。

選挙がいかに大事か、っていうことも、今回のことで痛感した。

論説委員から

  •  政界と芸能界は、実は似ているんじゃないか。
     人気商売だから、双方を行き来する人もいる。いずれも、生き馬の目を抜く厳しい世界である。
     みんなが知っているけれど、それぞれ実態はつかみにくい。芸能界の住人である庄司さんが、特定秘密保護法の話を理解しにくいのは無理もないと思う。
     おそらく芸能界との最大の違いは、政界の動きはふつうの人々への「強制力」を伴うことだろう。それを政治家や官僚たちは、笑みをたたえながら「私たちを信じてください。大丈夫ですよ」と言う。
     それは仕方ない。そういう仕事なのだから。
     問題は、どこまで彼らを信用するか、だ。
     特定秘密保護法の議論は結局、政府をどこまで信じるか、信じないか、という問題に行きつく。ある程度は信じなければ社会が成り立たない。しかし、少なくとも疑いを持ち続けることは必要だろう。
     芸能界のこわさを知る庄司さんは、直感的に政界の恐ろしさにも気付いたようだった。
     一番こわいのは奥さん、という認識でも一致したような気がするけれど。(小村田義之)

論説委員プロフィール小村田義之(こむらた・よしゆき)

茨城県出身。地元の日立製作所をやめて1992年に入社。政治部で自民党、公明党、外務省、旧防衛庁を担当。米スティムソン・センターの客員研究員も。ワシントン特派員として2008年にオバマ氏が勝利した大統領選を取材したが、英語より茨城弁が得意。

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