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12月11日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 5 景気も気から? アベノミクス編 「庄説」

景気がよくなっているという実感が全く持てず、どこか元気のない庄司智春。
「景気も気から」という田中雄一郎論説委員による、関西弁のニュース指南をうけ、
気を取り直して「庄説」を書き上げた。

「筋トレ」のすすめ

安倍政権が、アベノミクスと呼ばれる経済政策を打ち出してから、1年以上がすぎた。
これで景気は良くなる、と聞いていたけれど、 残念ながら僕は、今のところ、そう感じたことは一度もない。

テレビ番組の賞金や商品も、年々少なくなっているし、
劇場へ足を運んでくれるお客様も、減ってきたような気がする。
僕の周りを見る限り、4月の消費増税を前に、家計のやりくりに頭を悩ませる人の方が多いのだ。

アベノミクスを信じていれば、本当に景気は良くなるの?
そもそも、アベノミクスって何!? 

アベノミクスは、長く続いた「しけた経済」、つまりデフレを吹っ飛ばす
「3本の矢」で、できているという。
「1本の矢は簡単に折れるが、3本束ねれば、簡単には折れない」。
戦国武将・毛利元就が息子たちに言ったとされる言葉にあやかったネーミングらしい。

今回教わったところによると、「3本の矢」とは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、
民間の投資を引き出す成長戦略の三つをいうらしい。

このうち「第一の矢」、大胆な金融政策は、まずまず評価が高いという。
日本銀行が、市場に出回るお金を増やし、その結果円安となって株価が急上昇した。
そのおかげで、景気が良くなってるかも、と思えるようになった……らしい。
「第二の矢」、機動的な財政政策では、大型予算を組んで公共事業などを増やし、
全国的に景気を活性化させようとしている。

だが「第三の矢」、民間の投資を引き出す成長戦略は、どうもあまりうまくいっていないらしい。
「第一、第二の矢」で、やっと上昇しはじめた景気を、軌道にのせるためには欠かせないものだが、
「女性が働きやすくする」「十年間で農業全体の所得を倍増させる」などの案は、
どれも実現に時間がかかりそうだ。

このアベノミクス3本の矢を、僕にもわかりやすいように、人間の体のイメージで説明してもらった。
血流が悪くなり、体温も下がってしまったデフレ状態の体に、
「第一の矢」で大胆に「輸血」。血液の循環をよくして、体温まで上げようとした。

「第二の矢」では、栄養をつけて、体全体を元気にしようと
高カロリーのおいしいものをたくさん補給した。
ただし、大借金して。

そして「第三の矢」は、ぜい肉をそぎ落とし、代謝のいい筋肉質の体をつくる筋トレだ。
血の巡りをよくして、栄養をつければ、一時的に元気にはなるが、
体力がつかないまま体重が増えすぎれば、今度は病気になりやすくなる。
物価だけが上昇、インフレを起こしかねないのだ。

そうなる前に、筋トレが必要だ。
なのに、今のところ、ほとんど進んでいない。
他人に用意してもらえる輸血や食事と違って、筋トレは自分でやらなきゃできない。
抵抗勢力をおさえて、規制緩和などの成長戦略を進めるには、
政府のトップ、つまり安倍首相自身が汗をかかないとできないのだ。

痩せたいと言ってジムに入ったのに、言い訳ばっかりしてトレーニングをせず、
会費を払うだけの人になってもらっては、困る。

我々に、何が出来るのか。
この「筋トレ」を見守るトレーナーになれないだろうか。

トレーニングをするよう励ます。
ペースがおちたり、サボったりしたら、お尻をたたく。
たくさんトレーニングをしたら、たくさん褒めてあげてもいい。

持久力のある、たくましい経済大国になるには、筋トレ、という「第三の矢」がなければ、
第一、第二の矢もろとも折れ、その強い副作用で、危機に陥るおそれがある。
しかし、大事な「第三の矢」は今のところ、細い細い矢ですらない、棒の切れ端なのだ。
「トレーナー」にも、相当の覚悟が必要になることは、間違いなさそうだ。

良質な筋肉が1日、2日で出来ないのと同じで、忍耐強く、日々努力することが必要だ。

論説委員から

  •  経済の話は難しい。ましてや、アベノミクスの「3本の矢」となるとなおさらだ。
    対談前(ウォームアップ参照)はどうなることやらと心配だったが、そこそこ話がはずんだ、と思う。(庄司vs.論説委員 参照)庄司さんが、自分の仕事や生活に引きつけながら「景気」に関心を持っていたことが大きかったのではないか。
     人間の体をイメージしながら「3本の矢」を説明するのは初めてではなかったが、「3本目の矢は体幹を鍛える筋トレ」というところが、おおいに受けたようだ。庄司さんがいわゆる「筋トレ芸人」だとは知らなかったのだけれど。
     さて、その筋トレ、つまり3本目の矢について。具体的には、さまざまな規制を見直して事業をしやすくするなど、いわゆる構造改革を指す。庄司さんは、安倍首相がその旗を振れるかどうかがカギだと見て、「国民がトレーナーになって叱咤激励しよう」と考えた。
     確かに首相のリーダーシップは大切だが、「筋トレをするのは誰か」を改めて考えたい。規制の改革で世の中の仕組みを決めるのは「政治」の役割だが、そのもとで活動するのは、大小さまざまな企業であり、商店主や農家、町工場の経営者といった個人事業主だ。企業や事業主に雇われた従業員とその家族のことまで考えると、筋トレの効果も筋肉痛も、結果は私たち国民全体に及ぶ。
     ここが「第3の矢」の難しいところだ。例えば、従業員を今より解雇しやすくすれば、企業はもうけやすくなって株価が上がるかもしれない。しかし、解雇された従業員とその家族は困ってしまう。
     そんな中で、どの規制をどう見直していくのか。
     という話は、時間切れでほとんどできませんでした。次の機会までの宿題ですね。 (田中 雄一郎)

論説委員プロフィール田中 雄一郎

1964年5月5日、兵庫県生まれの49歳。誕生日が子どもの日なのに、20代後半からハゲ始める。三重県津市と愛知県豊橋市で警察や県庁、高校野球などを担当した後は、東京~福岡の間を転々としながら経済畑を歩く。プロ野球は阪神タイガースのファンだが、大阪での勤務が2006年のわずか8カ月しかなく、しかもこの年は阪神が優勝を逃したのが心残り。現在の担当は、経済分野のうち税制・財政や国土交通関係、農林水産業、環太平洋経済連携協定(TPP)をはじめとする通商問題など。

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