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12月13日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 6
使う勇気と使わない勇気 集団的自衛権編 ウォームアップ

次のテーマは何をやりたいですか。
そう聞かれた庄司智春は、迷うことなく即答した。

「じゃ、集団的自衛権で」

担当は絶句。
「……大丈夫ですか? 特定秘密保護法もですけど、チャレンジャーですねえ」

難しいのはわかってる。
でも、気になるのだ。

「集団的自衛権」

最近、新聞を読んでいると、この単語がやたらと目に飛び込んでくる。
Round3で特定秘密保護法を取り上げた時も、
「もしかして、戦争する日が来るのかな」と思ったけど、
この単語が頻繁に飛び交うようになってから、
その嫌な予感は、もっともっと濃く、具体的になってきた感じなのだ。

心配しすぎかもしれない。でも、安倍晋三さんは、どうしてここまで必死になって、
「集団的自衛権」をとりにいこうとしてるのか。
かわいい息子のためにも、大人として知っとかなきゃいけない。
それも今。
今のうちに聞かないと。そんな気がしてならないのだ。

3月下旬、築地の朝日新聞東京本社。
勢いこんでやってきた庄司を、論説委員の国分高史が出迎えた。
髪形きっちり。いかにもまじめそうだ。

「そもそも、戦争って、やっていいもんなんですか」

国分は、いきなりそう聞いた。直球ど真ん中。
庄司も、勢いよく打ち返した。

「やっていい、というか、やってほしくはない、ですね」

国分が、語り始めた。

「そうですよね。そもそも、戦争はやっちゃいけないんです。
でも、世界中どこの国も、たいてい軍隊を持ってますし、紛争は何回も起きていますよね。
まずは、それが、なぜなのかを考えてみたいと思います」

みんなで決めた「戦争はやめよう」

第2次世界大戦後に国際連合(国連)ができたとき、
戦争はやめよう、とみんなで決めた、と国分は言った。

「紛争が起きたときは、国連で解決しましょうよ、というのが今の世界のルールなんです。
たとえば、AがBに攻撃をしたら、『おいおいやめろよ』とみんなで言うわけです。
でも、それでやめる人はいませんから、
まずは、貿易をやめたりして経済的な関係を断つ経済制裁をする。
それでも攻撃をやめなければ、国連で軍隊をつくって、攻撃をやめさせる。
こうして、集団で戦争をとめようとするのが、集団安全保障っていう仕組みなんですね」

「それで、十分なんじゃないですか」

庄司が、早速つっこむと、
国分は苦笑した。

「そう簡単じゃないんですよ」

国連が、経済制裁などを検討している間にも、
Aは攻撃をやめず、Bという国はどんどん攻められて、多くの国民が死んでしまうかもしれない。
そのため、Bが自分の身を守るためにAに反撃することは許されている。
これが、「個別的自衛権」だ。

この権利は、日本も持っている、と国分は言った。

「さらに一歩踏み込んで、BがAにやりかえすとき、普段から仲の良いCがBを応援して一緒に反撃する権利もあります。これが、集団的自衛権です」

平たく言えば、みんなで悪いやつをとめるのが本来のルールなんだけど、
それでは間に合わない場合、とりあえず悪いやつに反撃するのを仲間が助ける、というのが集団的自衛権、となるらしい。

「やり返したら、もう戦争になっちゃうじゃないですか。 話し合いでどうにかならないんですかね」
庄司は、いつになく積極的だが、即返り討ちにあった。

「どうにかなればいいですけど、国際紛争って、そんなに簡単じゃないんですよね」

「わかりやすく、ふたりの人のケンカで説明しましょうか」
国分はそう言うと、ちょっと黙った。そして……。

「あ、いてっ!」

いきなりの大声に、庄司、びっくり。

「おまえ、足踏んだろ、いま」

もしかして、オレ、すごまれてるのか。

「踏んだろ?」
とさらにすごむ国分。

「え? え?……踏んでないよ」

とりあえず、遠慮がちに言い返してみる。

「うそつけ、ふざけんなよ!」
国分は、拳を固めた。

えええええ~っ。
凍りつく庄司。その運命やいかに。

次回は、17日ごろ配信の予定です。

論説委員プロフィール国分高史

東京五輪の年に生まれ、高校教師か新聞記者かと迷ったすえに1989年朝日新聞入社。佐賀支局、西部社会部(福岡)などをへて95年に政治部。首相官邸、自民党、社民党、外務省などを担当した。社説を書くにあたっては、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく」(井上ひさし)を心がけるも、悪戦苦闘。

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