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10月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 7 消費増税は何のため? 庄司vs.論説委員 後編

消費増税で増えた税収の一部は、子育て支援に使われる。
税率が10%になれば、その額は7千億円になる。
2歳の息子がいて、まさに子育て世代の庄司智春にも、恩恵がありそうだ。
「日本では、庄司さんみたいに、健康でそれなりに稼いでいる人は、
税金は払っているのに、その見返りがなかなか見えにくい」
と、朝日新聞論説委員の浜田陽太郎は言い、外国の事例を挙げた。

高福祉、高負担の国
北欧のスウェーデンは、子ども全員が、ほとんど無料で保育園に入れる。
それどころか、大学までの教育費も無料。その代わり、消費税は25パーセントだ。

負担の重さに、国民は納得しているのか。

浜田によると、
高福祉、高負担のヨーロッパ諸国では、
所得の多少にかかわらず、みんながサービスを無料で受けられる仕組みであることが多い。
そうすると、税金を多く支払っている人も、納得しやすいのだという。

「庄司さんも、子どもが無料で保育園に入れたら、税金を払っておいて良かった、って思えるんじゃないですか」

見返りがはっきりすれば、そうかも知れない。

「でも、日本では、それはもう難しいんですよ」

え? どうして?

増税の大半、借金の穴埋め
浜田の説明はこうだ。
ヨーロッパの国々は、経済成長していた
1970年代に消費税をどんどん上げた。

税金が上がったけど、給料も上がっている。

そもそも不満が少ない。
さらに税金を使って、保育所がただになった、高齢者の面倒を見てくれる、などなど、
国民が実感できる見返りを、はっきりと示すことができた。

ところが、日本では、今回の消費増税で得られた税収のうち10分の9は、
今まで借金で賄っていた支出に充てられる。
さらに8パーセントの税率では、すべてを穴埋めできず、まだ新しい借金を続けている状態。
また増税を迫られるのは確実なのだという。

「良かったな、という実感が少ないんですね」
と庄司はうなずいた。
「でも、そのなかで、何とか今回頑張ったのが、子育て支援です。
来年度から、少しは目に見える形になってくれるはずです」

「そうですね、ちょっとは、ああ良かった、って思わせてくれないと」

若い人、どんどん声を上げて
「庄司さんのように、若い人が声を上げることが、
とても重要なんです」
浜田の語りに、力が入る。

高齢者は、人数も多く、声も大きい。
年金に医療費と、社会保障の恩恵を、
日々、切実に受けている。
高齢者の生活を守ることはもちろん重要だが、
若い世代が軽視されがちなのも現状だ、
と指摘する。

そうだ、ママタレントのブログが人気だけど、
そういうところで、こんなことが書かれるようになるのが、理想なのかもしれない。

"消費税上がって、保育所でこんな良いサービスが受けられるようになった。ラッキー(^^)♪ "
なんて。

「そうですね、若い人はいいことがあったら、どんどん発信して欲しい」と浜田は答える。
そして、これはお笑いの世界のためでも、あるかも知れないんですよ、と続ける。

「無鉄砲に、お笑いの世界に挑戦してくれる人が減ってしまうと、困るじゃないですか」

確かに、お笑い界のトップは、
何十年も変わっていない。
ぼくらは、すき間を縫いながら、
時代に合わせて、何とかやってきた。
だけど、世代交代もきっと必要なんだろう。

お笑い界の現状と、自らのポジションに思いを巡らす庄司を、浜田は叱咤(しった)激励した。

「庄司さん、あなたは18年も芸人をやっていますよね。
あこがれて芸人になりたいという人もいるでしょうし、ある程度の責任を負っているはずです。
新しい笑いを作り出すチャレンジができる状況をつくってあげるのも、
あなたの世代の役割ではないですか」

次回は「庄説」。配信は26日ごろの予定です。

論説委員プロフィール浜田陽太郎

庄司智春より10歳年上の「バブル入社組」。初任地の宮城県でコメ農家に泊まり込み、田植えと稲刈りを体験取材。週刊誌アエラの記者時代には「コンビニで24時間ぶっ通しで働く」ルポにも取り組んだ。経済部を経て、2000年に新設された「くらし編集部」で、社会保障の取材を本格的に始める。人前で話すのが苦手という弱点克服のため、市民講座で落語を習ったときの高座名は「早口亭金朝」(緊張すると早口になるから)。6月からグローブ編集部員。

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