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12月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 8 裁判員に選ばれたら ウォームアップ

芸人・庄司智春に今回、朝日新聞の論説委員室が投げかけたお題は「裁判員制度」。
打診を受けて、承諾したものの、はたと考え込む。
そういえば、裁判所って、いちども足を運んだことがない。

ましてや裁判員……イメージが沸かない。
一般市民が裁判に参加する制度が始まって、今年5月で5年がたった。
それが今回のテーマに選ばれた理由らしい。

確かに、制度が始まると耳にした時、通知が来たらどうしよう、そんなことは思った。
でも、通知はまだ来ないし、呼び出された知り合いもいない。
身近な話題としてなかなか考えづらい――。庄司にとってはそれが正直なところだ。 「裁判員制度より何より、裁判所がどこにあるかも知らない人がほとんどですよ」

今回の担当論説委員、井田香奈子がそうかばった。
8回目の庄説で、2人目の女性記者。
硬いテーマを担当しているが、裁判官や検察官のようないかめしさとは無縁だ。
ケラケラとよく笑い、気さくに話しかけてくる。

実際にすることは
裁判員に選ばれたら、実際に何をするのか。
そもそも、よく分からない。

ただ、庄司は、ある映画を思い出していた。
三谷幸喜さんが脚本を手がけた映画
「12人の優しい日本人」(1991年)。

アメリカで導入されている陪審制度が日本にあったら、という設定のコメディーだ。

会議室で、陪審員の市民たちが意見をぶつけ合う。
ずっとおとなしかった人の指摘が、有罪か無罪かの議論に影響を与えるシーンが印象的だった。

日本の裁判員制度も、こんな感じなの?

「日本では、市民から選ばれた裁判員6人のほかに、本職の裁判官3人も参加します」
井田は説明する。

一般人も傍聴できる公開の法廷では、
検察官や弁護士がそれぞれに主張をぶつけ、証人も呼ばれる。
この、いわば表舞台が終わると、裁判官と裁判員だけで、有罪か無罪、
さらに刑の重さを話し合う「評議」がある。
映画が描いているのは、この評議に当たる部分と言えるだろう。

うまくやれるんだろうか
映画では、おかしく描かれてたけれど、
裁判員に選ばれてはみたものの、自分の意見をしっかりと言えない人もいるはずでは。
庄司の疑問に、井田は逆に尋ねる。

「庄司さんだったら、どうでしょう」

おれは、言えないような気がするな。

心の中で思っていることがあっても、グズグズ、グズグズ。
ああ、みんなそう言ってるんだ、みたいな感じ。

それか、意見を言ったはいいけど、ほかの人に圧倒されて、何も言えなくなってしまいそう。

自慢じゃないが、
学級委員なんてやったことがない。
あるのは、体育委員ぐらい。
石灰でラインをひいたり、
体操をみんなの前でやったりとか。
おれみたいな人間が裁判員に選ばれても、
うまくやれるんだろうか。

井田が説明する。
日本は裁判官が参加しているので、法廷でのやりとりなどについて、
「法律的にこんな意味がありますよ」などと説明をしてくれる。

一方で、裁判官と裁判員は対等な立場となっているので、
ただ聞いているだけでなく、裁判員からの質問もけっこうある。

そうなのか。
庄司が安心しかけたところで、井田が言葉を継いだ。

「らしいです」

らしい?

「実際の評議については、裁判員に守秘義務があります。
ですから、私たちも具体的な内容については、なかなか取材ができないんです」

新聞記者でも、よく分からない?
対談の先行きに、不安を覚える庄司であった。

次回は、7月24日ごろ配信します。

論説委員プロフィール井田香奈子

初任地の札幌で北海道南西沖地震、ホスピスの長期取材を経験し、いかに生き、死ぬかを考えさせられたことが記者としての土台になっている。2001年から司法制度改革を担当し、戦前の陪審制以来の市民の裁判参加が実現したことには格別の思い。08ー11年、ベルギー・ブリュッセルに勤務し、EUやNATOなどの国際舞台のかけひきを目の当たりにした。司法も国際政治もそうだが、お固くみえるルールを私たちの幸せのためにどう生かしていくか、をきちんと伝えられたらと思う。気分転換は各国料理を作って旅行した気分になること、野山に分け入ること。

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  • きょうも傍聴席にいます。(2014/05/22)

     事件は世相を映し出します。傍聴席から、朝日新聞記者が「現代(いま)」を見つめるシリーズです。

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