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10月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 10 ウクライナ情勢 ウォームアップ

今回は難題だ。 ウクライナ情勢……大変なことになっていると分かっても、
新聞を読んでいて、ついつい後回しにしてしまう。

とにかくとっつきにくい。
ウクライナという国自体、これまで目に留まることもなかったから……
いつにも増して、庄司智春は弱気だった。 shosetsu10-1_02 今回担当する論説委員の国末憲人は
「意外と日本と関係ありますよ」と興味を引こうとするが、

「いや、やっぱり関係は少ないかな」と、こちらもモゴモゴ。

ウクライナってどんな国?
不安なムードが漂うなか、国末はまずウクライナと関わりが深い有名人の名を挙げた。
昨年亡くなった昭和の名横綱、大鵬だ。
父親がウクライナ系という。

カムチャツカなどロシア東部に移住し、
その後、日本に亡命などでやってきたウクライナ人はけっこういる。
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「ロシア系と思われているけれど、じつはウクライナ系という人は多いんですよ」

「それとですね」
さらに興味をわかせようと、国末が続ける。

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「ウクライナは美人が多いと言われます」

「ああ、それは何となく聞きます」
硬かった庄司の表情が緩む。

国末は「実際、首都のキエフを歩いていると、
金髪ですらっとしたスーパーモデルみたいな一般の人が向こうからやってくるんです」と語る。

欧州とロシア、せめぎ合う
場がちょっと和んだところで、どんな国なのか、国末が説明を始める。

「ウクライナは、半分ヨーロッパ、半分ロシアみたいなところがあるんです」

旧ソ連に属していたので、
ロシアの存在は非常に大きい。
ウクライナ語もあるが、
話しているのは田舎ぐらい。
街中ではロシア語が共通語という。

一方で、ハンガリーやポーランドと国境を接し、ヨーロッパの影響もある。
両方がせめぎ合っているというのだ。
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ベルリンの壁が崩壊して今年で25年がたった。
民主化の波はウクライナにも押し寄せ、新聞が政権を批判するなど、
報道も最近はかなり自由になってきた。
若者はそうしたヨーロッパ的な価値観に好意的だ。 shosetsu10-1_06 対して年配の人たちは、自由がないけれど、
年金や医療がある程度保障されていた、ソ連時代の生活を懐かしむ。

ある意味で楽ちんな生活だった。
よって、ロシア志向が強い。
国内に勢力争いのような情勢があり、ロシアがちょっかいを出してきた。

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単純でない世界で
「ロシアがものすごく悪いという印象なんですけど」と庄司が尋ねる。

国末は、ロシアがクリミア半島を併合した後の6月に現地を訪れている。
ウクライナの通貨はもう使えない。
ウクライナの銀行は逃げてしまい、ロシアの銀行が取って代わっていた。

「200万の人口がいるんですけれど、
その規模の地域が突然、別の国になるというのは、あまりないケースです」

力ずくで領土を変えるという国際常識に反する行動が、他国から批判を浴びている。

返す気はあるのか?

「返さないと思いますね。いちど取ったものは」

ならば、制裁に加わっている日本に影響はないのか?
ソチ五輪では安倍首相が開会式に出席し、ロシアとの関係はいいと聞いてるけれど。

「10月のASEM(アジア欧州会議)でも
10分間ほどですが、会談してます。
制裁でやりづらくなっていますが、
北方領土の問題があるので安倍政権はいろいろパイプを持っていたいはずです」

何か、ややこしい関係だなあ。
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冷戦の時代は、アメリカとソ連という両極があった。
お互いどちらかが正しく、どちらかが悪い、と割り切れた。
だが、現在の世界は、そんな単純ではない。

「おまえは悪いけれど、ちょっといいとこもある、とか、
基本的にいいんだけど、ここはだめ、とか。なんだか訳が分からない世界に、我々はいるんです」

ウクライナ情勢をきっかけに、現代の国家のあり方について話題は広がっていく。

次回は、11月27日ごろに配信します。

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論説委員プロフィール国末憲人

1987年に入社。富山、徳島、大阪、広島での勤務の後、パリ支局員、パリ支局長、日曜版「GLOBE」副編集長を経て、2014年7月から論説委員。主な担当は欧州と中東。「世界のどこにでも行くぞ」をモットーに、アフリカのジャングルの村を訪ね、シベリアの果ての街に足を運ぶ。パレスチナやイラク、グルジアの戦場で取材したことも。ただ、欧州や中東アフリカの多くの国を訪れたものの、アジアの経験は薄く、中国には行ったことさえない。身近な国をもっと知らないと。国際記者への道はまだまだ遠いと実感する日。51歳

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