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12月11日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 10 ウクライナ情勢 庄司vs.論説委員 前編

庄司智春は最近、ロケで海外に出かけると、飛行機に乗るのが怖い。
7月にウクライナ東部でマレーシア航空機が撃墜されたからだ。

外れる国家の枠組み
論説委員の国末憲人によると、
ロシアからミサイルをもらった地元の親ロシア派勢力が撃ったことは、
ロシアは認めていないが、ほぼ間違いないようだ。

「ほかの飛行機は この地域を避けていたけれど、
相当な高度だから大丈夫だろうと飛んでいた。
それをウクライナの戦闘機と思って、撃ってしまった。
普通は戦闘機かどうかを判別する機械が付いているようですが、
うまく使えなかったんじゃないかな」

故意ではないということ?

「さすがにわざとじゃないでしょう」

とはいえ、そんな風に巻き込まれるのは……
気づいたら死んでいる、いや気づくこともないかも。

「飛行機を落としたのは民兵でした。
国同士の争いという、分かりやすい形にならなくなっているのが、現在の戦争です。
どこで、だれが、どう攻撃するか、予測できない。
ウクライナでこんな争いが起きるなんて、昨年の段階でだれも考えなかった」

庄司の頭に浮かんだのは「イスラム国」だ。
世界中で大騒ぎになっているのに、
どんな組織かよく分からない。
不気味だ。

「国家の枠組みが外れているのは、
イスラム国に限らず、
いろんな所で起きてます」

琵琶湖でボートに乗るような独立
そう言って国末が話題にしたのは、9月に独立をめぐる住民投票があったスコットランドだ。
スコットランドはもともと、国防と外交以外はほとんどの権限を持つと言われている。
イギリスという国家の枠組みが、そもそも緩んでいたのだ。
そして独立したとしても、EUに加盟することが前提だ。

独立って聞いて、何かすごいことやり出した、って思ったのだが……

国末が答える。
「すごいことではあります、
名目上は独立ですから。
ただし、あえて例えれば、
荒海に単身こぎ出すような独立ではなくて、
琵琶湖でボートに乗るようなものでしょうか。
たとえ転覆しても、EUが助けてくれるだろうという」

ヨーロッパには、ほかにスペインのカタルーニャやバスクといった地域で独立の機運があり、
スコットランドの投票は刺激を与えることになりそうだ。

日本で独立するとすれば
ところで、日本ではあり得ないよな?

国末によると、スコットランドに沖縄からけっこう取材や視察が来ていたという。

「独立を望む県民はあまり多くありませんが、主張する人はいます」

日本で独立するとすれば――庄司が真っ先に思いついたのは、大阪だった。

東京出身の庄司には、
関西の芸人へのコンプレックスが強い。
関西弁は標準語よりおもろいやろ、
と関西の人は言葉の力に自信を持っていて、
お笑いの血が濃い。

「面白いなあとリスペクトしているし、それを超えたいと思って、芸人をやっている。
前に出ていく姿勢が、独立となったら強いと思いますよ」と言う。

でも実際に独立したら、どうなるんだろう。
吉本興業は、大阪と東京の両方に本社がある。
自分は、東京の所属だけど……

格差への不満、世界で
「経済活動はほとんど国家と関係なくなっています。
必要ないどころか、かえって邪魔なくらいかも」と国末は言う。

本社をシンガポールや香港など海外に置こうとしている日本企業もたくさんある。
グローバル化だ、何だと、変化の激しい時代だ。
生き馬の目を抜く芸能界で活躍する庄司でさえ、ついていけるのか、と不安を覚える。

「複雑化する世界を、ひょいひょい行ける人と、できない人との格差が生まれています」と国末。
そうした不満をくみ上げる勢力が世界各地に現れている。

「イスラム国」に日本人が志願しているというニュースでも、そうした動機が語られていた。
戦争がじつは自分たちの周囲に、ひたひたと近づいているのではないか。
庄司は時々心配になる。

次回は、12月4日ごろに配信します。

論説委員プロフィール国末憲人

1987年に入社。富山、徳島、大阪、広島での勤務の後、パリ支局員、パリ支局長、日曜版「GLOBE」副編集長を経て、2014年7月から論説委員。主な担当は欧州と中東。「世界のどこにでも行くぞ」をモットーに、アフリカのジャングルの村を訪ね、シベリアの果ての街に足を運ぶ。パレスチナやイラク、グルジアの戦場で取材したことも。ただ、欧州や中東アフリカの多くの国を訪れたものの、アジアの経験は薄く、中国には行ったことさえない。身近な国をもっと知らないと。国際記者への道はまだまだ遠いと実感する日。51歳

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