メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

10月22日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

Round 11 カジノを日本に? 庄司vs.論説委員 後編

カジノ解禁が楽しみな庄司智春に対し、論説委員の加戸靖史はギャンブル依存症の怖さを説く。
賛成派と反対派の溝を埋めるすべはないのか。
解決策として、庄司はある提案を投げかける。 shosetsu11-3_01.jpg

自国民の入場に制限
「入場制限を設ける国があると聞きますが」

シンガポールでは自国民の入場に厳しい制限をかけて、1万円近い入場料を課す。
依存症の傾向があれば、家族などの申請によって入場を禁止する措置もとる。
一方、外国人は無料だ。

加戸によると、日本で解禁するうえでも焦点となっている。
日本国民の入場には、何らかの条件を厳しくするのが有力とみられている。

シンガポール方式は妙案だ、と庄司は思う。
後発だからこそ、先進地のいいとこどりをして、
日本ならではのカジノができるのではないか、と期待する。

本当にうまくいくのか
ただし、加戸は別の視点から疑問を投げかける。

「カジノはもう世界中にあります。
手っ取り早く経済効果が期待できそうだと、
いくつも手が挙がってますが、
本当にうまくいくのでしょうか」

shosetsu11-3_02.jpg

日本にはあしき前例がある。
1980年代から全国で大型リゾート開発の波があったが、
宮崎のシーガイアなど失敗が相次いだ。

「こうした施設の多くは、地域ならではの特色があるわけでなく、地元の人々が本気で応援する気になれませんでした」
二の舞いにならないか、と加戸は危惧する。

カジノにはお金が落ちる実績があるという主張もあるが、
「もうかりさえすればいい」では、今までずっと禁止してきたカジノを解禁する理由として弱いとの考えだ。

shosetsu11-3_03.jpg

日本を訪れるきっかけに
庄司の考えはちょっと違う。
海外の人たちは、日本にカジノだけを目当てに来るわけではない。

自分に当てはめてみよう。
海外旅行を計画して友人や家族に相談する。
候補地が挙がり、「海がきれい」「子どもが遊べる」などと特徴が並ぶ。
そこに「カジノもある」という項目があることで、決め手になるケースがある。

日本は未体験、でも興味がある。
そんな海外の人の背中を押すきっかけに、カジノはなってくれるのではないか。

「それは絶対なるでしょう」と加戸も同意する。
そして、揺れる心境を明かす。

「私は当初、カジノにものすごく反対でした。
でも、ものごとには必ずプラスとマイナスがあります。
そのへんをもうちょっと深く考え、
相手にも届く意見を言っていかなければ、と思うようになってます」

議論を尽くすことが大切
賛成派はバラ色の経済効果を宣伝し、反対派はギャンブル依存症の怖さを強調する。
議論がほとんどかみ合っていないことが、
加戸は気になる。

ギャンブルのプラスとマイナスが徹底的に見極められ、正しく遊べば問題ないと、子どもにだってきちんと説明できるようになる。

そこまで社会で議論を尽くせば、加戸自身も考えが変わるかもしれない。

shosetsu11-3_04.jpg

ただ、政財界を中心にしたカジノ推進の大合唱は明らかにそういう議論になっていない。
2020年の東京五輪を見据えたとしても、結論ばかり急ぐのなら、やはり賛成できない。

庄司は対談を通じ、反対意見とせめぎ合うことが、
より良いカジノができるために必要だと考え始めた。

加戸はこう締めくくった。
「庄司さんが、大阪のカジノで負けたとします。
でも、カジノの社会的イメージが良ければ、奥さんもそんなに怒らないかもしれません。
もし解禁するとしても、一から議論したうえで、本当にいいものにしたほうがよくありませんか」

次回は「庄説」。3月5日ごろに配信します。

shosetsu11-3_05.jpg

論説委員プロフィール加戸靖史

1973年生まれ、千葉県育ち。96年朝日新聞入社。奈良、広島総局、大阪・東京社会部を経て13年から論説委員。広島で原爆についての取材を重ね、多くの被爆者から話を聞いたことが、記者として「いのち」を考える原点になっている。論説では大阪の行政や原発問題を主に担当。1児の父。休日に息子を連れて名所旧跡や公園を回るのがなによりの楽しみ。

もっと「カジノ法案」を読む

!

スクラップブックの保存可能件数が5,000件に

!

紙面イメージの「地域面」がさらに充実したものになりました

注目コンテンツ