2025年に65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症になる。
厚生労働省が今年公表した推計だ。
自分の親だけでなく、90代の妻の祖父母も近くで暮らす庄司智春。
いまは元気だけど、いざという時にどうすればいいか、考えなくては……
笑いながら話すか、
それは得意かも、と庄司。
芸人をしているから、親はそういうのには慣れているはず。
「どういうふうに死にたいの?」って冗談っぽく言えてしまうかも。
何ならば、カメラを回してしまうか。
かえって、深刻にならないかもしれない。
「エンディングノート」というドキュメンタリー映画で、
映画監督の娘さんが父親を死までカメラでずっと追っていた。
こんな親孝行があるのか、って感動した。
「カメラ? それはすごいですね」
友野は目を丸くする。
「庄司さんには信じられないかも知れませんが、今でも身内が認知症と言えない人がたくさんいます」
介護する側が、
誰にも悩みを言えずに抱え込んでしまう。
それはとてもしんどく、
虐待も起きやすい。
認知症でも徘徊(はいかい)すると困るからと、
鍵をかけて外出させないというケースも多い。
「でも、もし徘徊していても、ご近所が教えてくれればいいわけですよね。
周りの理解があれば、介護が楽になることだってあるんですよ」
友野が例に挙げたのは、
福岡県大牟田市の取り組みだ。
10年ほど前から
「安心して徘徊できるまち」を目指している。
徘徊は、その人なりの目的を持っていることもあるという。
お決まりの立ち寄り先で、そこにいる人が見守っていれば、かなり安心できる。
事故はゼロではないが、地域の「目」がたくさん注がれていれば、少なくなる。
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次回は、21日ごろ配信します。
東京都出身。1996年朝日新聞入社。三重や秋田での勤務を経て、政治部で首相官邸や国会、文化くらし報道部で厚生労働省などを担当。その後、編集委員として「高齢化」をテーマに社会保障の制度改正や医療・介護の現場、住まい、地域づくりなどを取材。2014年から論説委員。常にどこかで意識している大きな問いは「人生を、納得がいく形で全うするには?」。雑木林をぷらぷら歩くのが趣味。
政府は、認知症の人への支援を強化する初の「国家戦略」を正式に決めた。
25年には65歳以上の約700万人が認知症になるとの新たな推計を示した。
高齢化に伴って増え続ける認知症。5年で65万人増えるとの推計がある。
「お願いです。病院に連れていって」
80代の女性は、遠い親戚にあたる中年の女性と養子縁組をした。
認知症の妻はのべ8カ所の病院や介護施設を転々としてきた。
「介護福祉士」の資格は、待遇を大きく変えてはくれなかった。
「認知症サポーター」の研修を受けた従業員が増えています。
子育てと親の介護に、同時に直面している人がいます。
「あれでよかったのか、と今でも思う」
安倍首相が「介護離職ゼロを目指す」と表明したとき、「えっ?」と思った。