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10月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 12 認知症と向き合う 庄司vs.論説委員 前編

2025年に65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症になる。
厚生労働省が今年公表した推計だ。
自分の親だけでなく、90代の妻の祖父母も近くで暮らす庄司智春。
いまは元気だけど、いざという時にどうすればいいか、考えなくては……

どういうふうに死にたいの?
「子どもの立場だけでなく、本人たちがどうしたいのかを知っておくことが大切ですよ」
論説委員の友野賀世はそう指摘する。

夫婦の間で何となく、将来について話すことはある。
でも、親や祖父母を交えたことはないなあ。

決して、明るい話ではない。
「本人たちを巻き込むのは、ハードルが高いと感じている人が多いですよ」と友野。

取材で出かけた終末期医療の催しで、ある医者がこんなアドバイスをしていた。
息子が実家に帰ってきた時、冗談でいいから「わたしが、死にそうになったらこうして」と言いなさい。
最初は冗談でも繰り返しているうちに、真剣な話になっていく、と。

笑いながら話すか、
それは得意かも、と庄司。
芸人をしているから、親はそういうのには慣れているはず。
「どういうふうに死にたいの?」って冗談っぽく言えてしまうかも。

何ならば、カメラを回してしまうか。
かえって、深刻にならないかもしれない。

「エンディングノート」というドキュメンタリー映画で、
映画監督の娘さんが父親を死までカメラでずっと追っていた。
こんな親孝行があるのか、って感動した。

「カメラ? それはすごいですね」
友野は目を丸くする。

周りの理解あれば
これまで日本の介護は、嫁がするのが当然のような風潮があり、
家族のなかで閉鎖的な面が強かった。

「庄司さんには信じられないかも知れませんが、今でも身内が認知症と言えない人がたくさんいます」

介護する側が、
誰にも悩みを言えずに抱え込んでしまう。
それはとてもしんどく、
虐待も起きやすい。

認知症でも徘徊(はいかい)すると困るからと、
鍵をかけて外出させないというケースも多い。

「でも、もし徘徊していても、ご近所が教えてくれればいいわけですよね。
周りの理解があれば、介護が楽になることだってあるんですよ」

友野が例に挙げたのは、
福岡県大牟田市の取り組みだ。
10年ほど前から
「安心して徘徊できるまち」を目指している。

徘徊は、その人なりの目的を持っていることもあるという。
お決まりの立ち寄り先で、そこにいる人が見守っていれば、かなり安心できる。
事故はゼロではないが、地域の「目」がたくさん注がれていれば、少なくなる。

家族の責任とは
ただ、徘徊をめぐっては気になる判決があった。
認知症の高齢者が列車にはねられた事故で、家族に賠償を命じたのだ。

「ドイツの友人に聞いたら、驚いていました。
日本はまだ家族が背負わなければいけない責任が大きい」と友野は嘆く。

庄司は首をかしげる。
そんなこと言ってられないだろう。

10年後にお年寄りの5人に1人が認知症になったら、それこそ徘徊だらけ。
独り暮らしの高齢者が増えるのは確実だし。
課題の大きさを痛感しながら、庄司は自分にできることは何なのかを、自問した。

次回は、21日ごろ配信します。

論説委員プロフィール友野賀世

東京都出身。1996年朝日新聞入社。三重や秋田での勤務を経て、政治部で首相官邸や国会、文化くらし報道部で厚生労働省などを担当。その後、編集委員として「高齢化」をテーマに社会保障の制度改正や医療・介護の現場、住まい、地域づくりなどを取材。2014年から論説委員。常にどこかで意識している大きな問いは「人生を、納得がいく形で全うするには?」。雑木林をぷらぷら歩くのが趣味。

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