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10月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 13 AIIBの衝撃 庄司vs.論説委員 前編

アジアインフラ投資銀行(AIIB)という、取っつきにくいテーマを選んだ庄司智春。
分かりやすく説明をしようと論説委員の原真人は、町内会の例えを始めた。

町内会に例えてみると
「国際金融村」という町内会がある。

町内会長として仕切っているのは、アメリカという大店(おおだな)だ。
イギリスやドイツなどと共に日本も役員の一員で、「アジア地区」を任されてきた。

役員たちは町内会費をたくさん納めるから発言力も強く、ゴミの収集所やスクールバスの停留所も、自分たちに都合のよい場所につくってきた。

そこに、新しくできた大きなマンションが中国。
お金は出すから、発言権が欲しい、と言い出した。

町内会長のアメリカは「考えてみる」と家に持ち帰るけど、
奥さん(議会)が「あの人に任せたら、何を言い出すか分からない」と反対する。

話はいっこうに進まない。
しびれを切らした中国は、役員でないご近所さんを集めて、
「第二町内会」をつくると言い出した。
お金を集めて、ごみ収集所もつくるし、スクールバスも呼ぶんだ、と。

ふむふむ、庄司が質問をはさむ。
けんかを売っているということなの?

原は答える。
「半分けんかですね。もとの町内会で、
意見を反映できれば一番いい。
だけど、聞いてくれず、らちがあかない。
自分でやったほうが早いし、そう言えば、あっちも焦るだろう、と考えたのです」

先進国に亀裂
ところが、事態は思わぬ方向に。
一部の役員が、「私たちも第二町内会に入ります」と言い出した。

なんで、そうなるの?

原の説明はこうだ。
ドイツは商店を営み、中国などの住民もお客さん。
ことを構えると、商売に差し障る。

イギリスも銀行をやっていて、つきあいがある。
あわよくば、第二町内会の口座も作ってもらえるかも。

庄司の頭に、またまた疑問が浮かぶ。
イギリスやドイツの行動に、アメリカは怒らないのか?

「英米なんか蜜月関係だったんですけど、ものすごい亀裂が入ってます。
でも英国も、ドイツにしても、アメリカのほうが親しいとか中国のほうがいいとかでなく、自分たちの利害に基づいて判断しているんです」

なるほど、では「アジア地区」を仕切ってきた日本はどうなるのか。

「アジア地域周辺の第二町内会なので、
欧州の国々が参加したとしても、
町内会費も安く、発言権もあまりない。
ところが日本が入るとなると、高い町内会費を納めなくてはいけません」

欧州諸国は、とりあえず首を突っ込んでおこう、
うまくいかなくても大した損害じゃない。
一方、日本は数千億円単位の出資が予想される。リスクがまったく違うのだ。

なるほど、それは慎重になるよな。

中国の野望、おおっぴら
とはいえ、入ったほうがいいのか、入らないほうがいいのか、結局どっちなんだ。

原はきっぱりと言う。
「現段階では、日本が参加しなかったのは正しいと思います」

AIIBでお金を集めて、
中国が何をしようとしているのか。

そこには「二つのシルクロード」と呼ばれる、中国を中心にアジアと欧州を結ぶ経済圏構想が見え隠れする。

特に「海のシルクロード」と呼ばれる海上ルートは、
「真珠の首飾り」と言われる軍事戦略と密接に関係する。

インフラ整備にお金を出して友好国を増やし、
軍艦が立ち寄れる港を整備しようというのだ。
アメリカの影響が及ばない、海の出口を確保したいのだ。

AIIBに、そんな野望が隠されているのか?

「いやいや、おおっぴらにです。中国の要人が、
シルクロード経済圏のための銀行だと言ってますから」

言っちゃってるんだ。
ならば、そんな銀行に参加できるはずないよな。

「いやいや、今後参加することはあり得ますよ」

え、そうなの?また分からなくなってきた。

次回は、24日ごろ配信します。

論説委員プロフィール原真人

 長野県出身。日本経済新聞社を経て1988年朝日新聞入社。財務省や経産省、金融庁などの経済官庁、日本銀行、経済界の取材を担当。「アベノミクス」や「異次元緩和」が将来の日本経済に及ぼす影響を問題視し、批判的な主張を続けてきた。編集委員や朝刊の当番編集長を経て、現在は論説委員として経済社説を担当。

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