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10月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 13 AIIBの衝撃 庄司vs.論説委員 後編

中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、中国の国益が露骨に絡んでいることが、庄司智春は分かってきた。
しかし、論説委員の原真人は、日本の参加もあり得るというのだ。 shosetsu13-3_01.jpg

日本に参加して欲しい?
庄司が、原に尋ねる。
AIIBに参加するイギリスやドイツは、中国の思惑を認めているのか。

「そこは賢くて、中国にそういうことをさせないために自分たちは参加するんだ、
と言ってます」

AIIBの本部は北京で、総裁は中国人。
他国からも理事を選ぶけど、本部には常駐しない方針だったが、
「それじゃ困る」とルール変更を求めている。

「それに、中国は今では日本に参加して欲しいと考えています」

たくさんの国が参加することで予想外の大ごとになり、中国は手を焼いているというのだ。
日本が参加すればお金は出すし、アジア開発銀行(ADB)で培ったノウハウもある。
さらに、AIIBの格付けが上がり、お金を民間から借りやすくなるメリットもある。

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日本にとっても、ひとごとではない。
日本が総裁を務めるADBも、途上国にお金を貸している。
AIIBが返済能力を超えた融資をして焦げ付けば、ADBにも返せなくなる。

「AIIBができてしまったら、つぶれられては困る。ちゃんとした銀行にするために協力せざるを得ないし、実際にADBの総裁は協力を表明してます」

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とはいえ結局のところ、中国は国際的な地位を固めることになる。

アメリカに取って代わって、世界のリーダーになろうとしているんだろうか。

「そこまでの気持ちは、まだないでしょう」と原。

世界のことまで考える余裕はない。
アメリカに封じ込められているけど、自分たちの実力に見合った自由な活動をさせろ、
というのが主眼だという。

中国にも言い分はある、と原はいう。
アメリカがある程度の発言権をこれまで認めていれば、
AIIBのようなことにはならなかった。

挫折したアジアの夢
日本はどうすればいいんだろう。
アメリカを常に気にして、言いなりのように見えるけど。

「AIIBの良しあしは別として、世界の秩序を少し変えようとしている意味では画期的。じつは日本も似たようなものを作ろうとしたことがあります」

1997年、アジアに通貨危機が起きた。
日本の大蔵省(現・財務省)が、国際通貨基金(IMF)のアジア版「アジア通貨基金」を真剣に考えた。

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アジアの国々でお金を出し合い、通貨暴落などがあったら助け合おうという構想。
日本にしては珍しく主導権とって取り組んだけど、アメリカにつぶされた。

勝手なことをするな、と?

「そう、IMFがあるだろ、世界の金融秩序を仕切ってるのは誰だと思ってるんだ、ということです」

今、かつて挫折したアジアの夢を、中国がアメリカの反対を押し切って実現しているようにも見える。 shosetsu13-3_05.jpg でも、歓迎する気になれないんだけど。

「中国は自国の利益のためにAIIBを作ろうとしているからです。
アジア通貨基金とは目的が違う」

原はそう批判しながら、付け加える。

「でも、中国をおだてたり、なだめたりしながら、
アジアのためのAIIBに育つよう力を貸す手はあります」

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「スモールベースボール」の姿勢で
日本は、何をすればいいのか。

原は、アジアの他の国々も日本に期待していると指摘する。

「東南アジアなどの小国は、ごうまんな中国がイヤです。日本が入ってくれたら、意見が通りやすくなる。経済規模はもう中国にかなわない、アジアの盟主でなくなっても、存在感は発揮できます」

日本的な「スモールベースボール」。

庄司はそんな例えが浮かんだ。
機動力とかで、泥臭く試合を運ぶ。

原もうなずく。
「豪速球投手とかホームランバッターがそろっていた、
かつての栄光を懐かしんでいるだけではダメなんです」

次回は「庄説」。31日ごろ配信します。

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論説委員プロフィール原真人

 長野県出身。日本経済新聞社を経て1988年朝日新聞入社。財務省や経産省、金融庁などの経済官庁、日本銀行、経済界の取材を担当。「アベノミクス」や「異次元緩和」が将来の日本経済に及ぼす影響を問題視し、批判的な主張を続けてきた。編集委員や朝刊の当番編集長を経て、現在は論説委員として経済社説を担当。

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