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10月20日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 14 だいじょうぶマイナンバー? 
庄司vs.論説委員 前編

セキュリティーは万全か
自分のマイナンバーが他人に知られたら、悪用されることはないのか。
作ったカードを落として拾われたら、なりすましとかされないのか。

不安がる庄司智春に、論説委員の高橋万見子は
「まだ実際に運用されていないので確かなことは言えませんが、
設計上は簡単に悪用されないような工夫がなされています」 shosetsu14-2_01 セキュリティーの仕組みは、こうだ。

マイナンバーシステム自体は、国や自治体といった行政機関以外使えない。
異なる機関の間で個人の情報を照合する時に使われるが、このやりとりには、個人に通知される12桁の番号とは別の番号を暗号をかけながら用いる二重構造になっている。

万が一、AとBという機関のやりとりが外部に流出したとしても、
ほかの機関の情報がまとめて抜かれることはない。

「それでも、悪事はつねに一般人の想定を超えていくので、絶対安全とは言い切れません。ハッキングの技術は日進月歩です。マイナンバーシステムを狙う動きも絶対に出てくるでしょう」

年金情報の流出あったけど
最近、日本年金機構の情報も流出した。信用できるの?

高橋は、それはマイナンバー以前の問題だと指摘する。
情報を電子化して管理する時代になり、
個人情報をもつ行政機関が、サイバー攻撃に備えるのは当然だ。

ただ、いくらシステムを堅牢にしても、
使う職員がルールを徹底して守らなければ、簡単に破られてしまう。
年金機構では、定められたルールを守らずに年金情報を扱っていた「人のミス」が原因で情報流出が起きた。

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「マイナンバーシステムに接続するかどうかにかかわらず、個人情報を扱う組織は、末端の職員にいたるまで、サイバー攻撃にあわないよう細心の注意を払わなければいけないんです」

民間企業も対策が必要だ。
今後は、税務署に申告する際に、お金のやりとりをした社員や契約先のマイナンバーを添えないといけなくなる。

そういえば、庄司は思い出した。

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この前の給料明細に
「マイナンバーが通知されるので会社に教えてください」とあった。

吉本の情報管理は大丈夫なのか、
とても心配だ。

そんな危なっかしい制度を導入するメリットってあるのか。
定着はするんだろうか。

引っ越しが便利でも……
「そうですよね、政府は定着させようと必死なんですけど、いまのところ空回りしているように見えます」と高橋は指摘する。

「例えば、引っ越しの時に、書類をいろいろ出さなくても大丈夫、手続きが簡単になりますよ、ってアピールしているんですけど、引っ越しなんか頻繁にはしませんよね」

確かに。そういう時は、面倒くさくてもやるでしょ。

別に、そこ便利になったと言われても…。

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国民全員に番号をつけるという大がかりな事業。
当然、お金もかかる。初期投資だけでも3000億円ぐらいかけている。

「使われなければ無駄遣いだと言われてしまう。
だから、本当は『なぜ必要なのか』を何度もていねいに説明して理解してもらうべきところ、目先の便利さばかり強調する。
それが、かえって、そんなに安易に使えるようなものにして大丈夫なのか、と情報漏れの心配を増大させてしまっているように思います」

そういえば、甘利(明・社会保障・税一体改革担当相)さんが、
若者の曲を替え歌して、PRしてたけど……。

「しらけますよね」と高橋も苦笑する。 shosetsu14-2_05

「いろんな機能が1枚で済む」が売り文句
「ややこしいのはね、マイナンバーシステムとは別に、
マイナンバーカードの活用、という話もあることなんです」

マイナンバーシステムは行政機関しか使えないけれど、マイナンバーカードは、
企業にどんどん使ってもらおうとしているのだ。

マイナンバーカードの裏に貼ってあるICチップには、空き容量があって、
そこに様々な情報を入れることができる。

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社員証でも、ポイントカードでも、病院の診察券でも、入れることが可能だ。

いろんな機能が1枚で済む、というのが政府の売り文句だ。

「確かに、マイナンバーカードをたくさんの人が持ち歩くのであれば、、例えばローソンは自前でPontaカードをつくらずに、マイナンバーカードをPontaカードとして使えるようにしたほうが効率的、と判断するかもしれません。でも、あまり普及しなければ効果は薄い」

診察券がまとまるのは便利そうだけど……。

「政府はカードを普及させたいので『あれにも使える、これにも使える』と宣伝するわけですが、1枚のカードで済むほうが便利なようで、それをなくしてしまったらおしまいですからね。むしろ、何枚かのカードを使いわけるほうが安全、と考える人は少なくないでしょう。そんなに思惑どおりにはいかないと思いますよ」と高橋は手厳しい。

うーん、メリットはそれほどないとなると、税金なんかを「ごまかすなよ」っていうのが目的という感じがやっぱり消えないんだよなあ。

次回は11月6日に配信する予定です。

論説委員プロフィール高橋万見子

 大学4年時、旅先の旧ソ連でチェルノブイリ原発事故に遭遇したことから突然、新聞記者に関心がわき、1年留年した末に朝日新聞に滑り込み入社。「まさか」の経済記者となり、金融、自動車、電機、行革、社会保障などを担当。休刊時の月刊誌「論座」、創刊時の「GLOBE」で副編集長を務めた後、現職。3・11以降のエネルギー政策・福島担当に加えて、スマホやSNSをわりと使っているという理由で「詳しい」とされ、IT担当にもなる。大阪勤務時代に阪神大震災、冬休みのマレーシアでスマトラ島沖大地震に遭遇。昨年は噴火の2週間前に御嶽山登頂。大災害の脅威や命の重みをひしひしと感じる経験を重ねるものの、これという大業を成すことなく日々が過ぎゆく51歳。

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