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10月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 14
だいじょうぶマイナンバー? 庄司vs.論説委員 後編

マイナンバーで、引っ越しの手続きが簡単になります。
カードには、様々な機能が付けられます――。

メリットを政府が宣伝しているけれど、ピンとこない庄司智春。
そこまで便利でもないんじゃないの。 shosetsu14-3_01.jpg

子どもの予防接種が便利に
「庄司さん、お子さんが生まれたばかりですよね。予防接種をこれから受けるでしょうが、違う自治体に引っ越しても接種の履歴をマイナンバーで確認できるようになります」と論説委員の高橋万見子は言う。

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へえー、そういうのはいいかも。

庄司は海外の仕事に行くときに、特殊なワクチンの注射をすることがよくある。

注射して5年大丈夫、10年大丈夫とかあるけど、どうしても自分で把握できなくて……。

いつ打ったのか管理されていると助かる。

「予防接種の履歴と違い、病歴は究極の個人情報みたいなところがあるので医療全般に広げることはむずかしい。すでに厚生労働省は医療分野での情報連携には別の番号を使う方針を固めています。マイナンバーとの連携がありうるのかどうかは、どういうメリットやデメリットがあるのかを十分検討したうえでの将来的な課題ですね」と高橋。

複数の医者にかかっていて、それぞれが処方している薬の飲み合わせは大丈夫なのか。
マイナンバーで管理すれば、そんな心配も解消されるかもしれない。

マイナンバーの用途は、税・社会保障のほかに、災害も対象だ。
東日本大震災で問題になったのは、被災した人がどんな薬を飲んでいたか、なかなか分からなかったことだ。

マイナンバーの用途が将来的に広がれば、災害時にも役立つ可能性はある。

なるほど、年をとると、管理されることで便利なことが多くなるかもしれない。
僕らの世代はあまり注目しない部分なのかもしれない。

理念語ってくれれば
「ただ、本来の目的は何かをきちんと知らせることがやはり重要です」と高橋はクギを刺す。

国民に関心を持たせるきっかけとして、確かに便利さはアピールしやすい。

カードを使えば消費税が返ってくるという案まで浮上し、批判が起きた。

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超高齢化社会になりつつあり、財政も厳しい日本で効率よく公正に税金や社会保険料を集め、本当に必要な人に行き渡らせる。

「そういう国にするために、年齢や職業に関係なく、稼ぎや蓄えをこれまで以上に正確に把握するマイナンバー制度が必要なんだ。目先の利便性ではなく、そういう理念を、例えば安倍首相自らが語る。それぐらい大きな改革なんだという自覚が政府に足りないように感じます」と高橋は言う。

始まった当初は、マイナンバーが使える範囲は限定的だが、今後は銀行口座など資産の把握にも活用していく方針が決まっている。

そうすれば、現在の収入は少ない人であっても、例えば現役時代に貯めた資産が3億円ある人と数十万円しかない人とが、高齢者だという理由だけで、まったく同じ給付や免除を受けられる制度でいいのか、といった議論が出てくる可能性もある。

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ちょっと、かわいそうかも、と庄司は同情的だ。

「とはいえですよ」と高橋は尋ねる。

「かつかつな生活をしている若い貧困世代が毎月、たくさんの保険料をとられて、3億円の貯金がある人にさらに満額に近い年金が支払われる、と聞かされたらどうですか」

なかなか難しいな、試されている感じがする。

豊かな人からお金をよりたくさん集めて、困っている人に回す。

「所得再配分と言いますが、個人の努力に委ねるべきだ、とか、そもそも政府を信用できないのでまかせたくない、という人もいます。しかし、本当にそういう社会が幸せなのでしょうか。青臭いかもしれませんが、マイナンバー制度の導入と共に税金や社会保障制度の意味を考えてみることが大切なのかもしれません」

怖がるのは大事
今までの話を聞いていると、マイナンバーはまっとうに働いている身ならば、それほど恐れる必要はないのかも、と思えてきた。

でも、どんな人だって、他人に知られたくない情報はあるだろう。
何でもかんでもまとめられるようになったら、やっぱり心配になってしまう。

「怖いという感覚はとても大事だと思います」と高橋はうなずく。

「これだけ大きなシステムを導入するのですから、恐る恐る慎重に進めたほうがいい。最初から大風呂敷を広げて大混乱したら、マイナンバーで本当にしなければならないことが理解される前に、みんな『使いたくない』となってしまいますから」

次回は「庄説」。13日ごろ配信する予定です。

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論説委員プロフィール高橋万見子

 大学4年時、旅先の旧ソ連でチェルノブイリ原発事故に遭遇したことから突然、新聞記者に関心がわき、1年留年した末に朝日新聞に滑り込み入社。「まさか」の経済記者となり、金融、自動車、電機、行革、社会保障などを担当。休刊時の月刊誌「論座」、創刊時の「GLOBE」で副編集長を務めた後、現職。3・11以降のエネルギー政策・福島担当に加えて、スマホやSNSをわりと使っているという理由で「詳しい」とされ、IT担当にもなる。大阪勤務時代に阪神大震災、冬休みのマレーシアでスマトラ島沖大地震に遭遇。昨年は噴火の2週間前に御嶽山登頂。大災害の脅威や命の重みをひしひしと感じる経験を重ねるものの、これという大業を成すことなく日々が過ぎゆく51歳。

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