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10月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 14 だいじょうぶマイナンバー? 「庄説」

国民ひとりひとりに勝手に番号を割り振るなんて……。
マイナンバーにそんな不信を抱いていた庄司智春は、朝日新聞論説委員の高橋万見子との対談を通じて、制度の目的が少しずつ見えてきた。
しかし、その理念が自分も含め、十分に伝わっていない歯がゆさを「庄説」に記した。

違和感なくす丁寧な説明を

住民一人一人に割り振る12桁の番号・マイナンバーを知らせる通知が順次送られ始めている。
少し前から新聞やテレビ・雑誌などで多く見かけるようになったマイナンバーという文字。
突然目の前に現れ、ニュースに無頓着な人は制度についていけないだろう。

マイナンバーとは、社会保障・税・災害対策の分野で効率的に情報を管理できるよう、複数の機関に存在する個人情報が同一人物の情報であることを確認するために活用されるものだ。
マイナンバーのメリットでよく聞くのが、住所変更や印鑑証明の手続きをするときに、このマイナンバーを記入するだけでスムーズに行えるというものだ。

しかし、このことに特にメリットを感じない人は多いのではないか。
確かに役所での手続きは色々と面倒ではあるが、引っ越しは頻繁にすることもないし、印鑑証明が必要なことも滅多にない。

表立って言われているメリットの代表がこれだと、僕ら国民はわざわざこの制度を高い金額を投じてやらなきゃいけないのかという疑問が強い。
やっぱりデメリットのほうが目立ってしまう。

すでにマイナンバーを使った詐欺事件が起きており、個人情報の漏洩(ろうえい)や、悪用などが心配される。
日本年金機構の漏洩もあって、不安がぬぐえないのは確かだ。

しかし対談を通じて、そのデメリットは少し緩和された。
特別なサイバーアタックにあった場合は別だが、マイナンバーを紛失して、拾われただけで中身のデータを見られることはまずないと思っていいみたいだ。
12桁の番号が他人に知れただけで、情報が漏れてしまうイメージを抱いていたが、それも大丈夫みたいだ。

もうすでに生活していくうえで、個人情報はどこかで管理されているもので、今に始まったものではない。
ではなぜ、マイナンバー制度に違和感があるのか。

クレジットカードや運転免許証は自ら欲しくて取得や登録をしたものばかりだ。
マイナンバーは国が決めて、ある日突然、「皆さんに12桁の番号を割り振ります」と言われつけられた番号なだけに、どうしても違和感を感じてしまう。
なにか裏があるんじゃないかと思ってしまう。

対談のなかの説明で、一番納得できたのが病歴や通院歴の管理に将来使われる可能性があるということだ。
これも大事な個人情報の一つであり、もちろん他人には知られたくないものの大きな一つではある。

それなのに、なぜマイナンバーでこのような項目をデータ化し、管理するのか。

例えば災害時に、保険証が手元にない場合でも、マイナンバーを使って過去の病歴や通院歴、服用している薬のデータなどがわかる。
緊急時に多くの命が救われる確率が高くなるはずだ。
この先、世界一の少子高齢化になると言われている日本の未来に向けての準備だと考えたら、マイナンバーも少しは賛成できるのかもしれない。

僕みたいな単純なやつは、国から根こそぎ税金を取られるのかなと、思ってしまうがそういうことではないみたいだ。
真っ当に生きていればマイナンバーにビビる必要はそれほどないようだ。

でも、本当にそうならば、それが、きちんと国民に伝わっているだろうか。
こういう新しいシステムを導入する時は、もっとかみ砕いた説明と慎重な運用を政府に期待したい。

庄司智春

論説委員から

  • 困ったなあ。庄司さんが抱くマイナンバーへの疑問に、できるだけていねいに答えようと臨んだのだけれど、案の定、「なんで必要なのか」という肝心要のところがうまく伝わらない。あれこれ説明していると、まるで自分が政府の広報役をやっている感覚に。う、気持ち悪っ。いいのか、権力のお先棒を担いでて。

    おそらく多くの人が庄司さんと同じ感覚。「なんで」と思っているなかで、とってもやっかいなマイナンバー制度が始まる。なんといっても個人の情報を扱うシステムだ。漏れやしないか心配になるのは当たり前。それ以上に、自分の懐具合を国に探られたりするのは、イヤだ。うん、よくわかる。

    でも。それでも、だ。 年齢とか性別とか職業とか目に見えるもので、なんとなく支える側か支えられる側かがわかったのは、ちょっと前まで。今は、それぞれの人生や生活事情によって同じ属性のようでも所得や資産の額が大きく開くようになった。

    もちろん、努力した人が報われる社会であるべきだけれど、人生、自己責任では片付けられない出来事で窮地に追い込まれることは珍しくない。 残念だけれど、日本は高齢化と財政難という構造的な問題がダブルパンチで効いてきている。本当に支援が必要な人に財源をあて、余裕のある人には負担をしてもらう。税を集めて社会のために使う政府の仕事をより精緻(せいち)にこなすためには、番号制を導入して個人の情報をひもづけることが欠かせない。

    そういう説明がまだまだ足りない。庄司さんの指摘はもっともだ。このままだと制度がうまく機能しない可能性すらある。責任は我々メディアにもある。でも一義的には政府の仕事だ。庄司さん、安倍(晋三首相)さんとも対談してみて。

論説委員プロフィール高橋万見子

 大学4年時、旅先の旧ソ連でチェルノブイリ原発事故に遭遇したことから突然、新聞記者に関心がわき、1年留年した末に朝日新聞に滑り込み入社。「まさか」の経済記者となり、金融、自動車、電機、行革、社会保障などを担当。休刊時の月刊誌「論座」、創刊時の「GLOBE」で副編集長を務めた後、現職。3・11以降のエネルギー政策・福島担当に加えて、スマホやSNSをわりと使っているという理由で「詳しい」とされ、IT担当にもなる。大阪勤務時代に阪神大震災、冬休みのマレーシアでスマトラ島沖大地震に遭遇。昨年は噴火の2週間前に御嶽山登頂。大災害の脅威や命の重みをひしひしと感じる経験を重ねるものの、これという大業を成すことなく日々が過ぎゆく51歳。

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