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10月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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Round 15 夫婦と姓 ウォームアップ

今回の対談の前に、庄司智春は妻に聞いた。
結婚して名字が庄司に変わったこと、どう思っている?
こんな答えが返ってきた。

うれしいよ。一緒になれた証拠だから。

のろけみたいになってしまった。
けれども、自分の気持ちと一緒だったので、安心した。

結婚してから、奥さんが電話に出て「庄司です」と名乗ったのを聞き、
「ああ、いいな」としみじみと感じた。
何かの書類に「庄司」と書いているのをちらりと見て、「結婚したんだ」と実感した。 shosetsu15-1_01

結婚における「幸せ」
昨年12月、「夫婦は同姓」と定めた民法の規定について、最高裁判所が「合憲」という判決を出した。

このニュースを聞き、庄司は「夫婦の名字は別々じゃないほうがいいかな」と思った。
うまく言えないけど、名字が一緒になることは、結婚における「幸せの一つ」という思いを経験しているからだ。

対談相手である論説委員の谷津憲郎は尋ねた。

「婚姻届を提出する際、2人のどちらかの名字を選びます。『どっちにする』という話はありましたか」

それはなかった。
妻の名字になるのは婿養子になるなら、あり得そうだけど…。
特段、考えもせずに「庄司」になってもらった。

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あんなに嫌いだったのに

「ちょっと話がずれますけど」と谷津。
「私もなんですけど、『庄司』って珍しい名字ですよね」

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子どものころは、好きじゃなかった。
下の名前みたいで。

母親の旧姓はよくあるものだったので、夫婦げんかをした時なんか、もしかしてこのまま離婚したら名字が変わるかも、と妄想もした。

谷津がさらに聞く。
「もし奥さんに『私のこと愛しているんでしょ。だったら、私の名字にしてよね』と迫られていたら、どうしました」

昔あんなに嫌いだったのに、これから、庄司でなくなるとしたら、相当な覚悟がいるよなあ。
女性はどんな思いなんだろう。

旧姓使用で十分なのか
ただ、うちは、ちょっと特殊な事情がある。
奥さんはタレント活動ではもとの名前のまま。
言い方がヘンかも知れないけど、ガス抜きになっているのかもしれない。

「最高裁の判決も、ちょっと似たところがあります」と谷津。

結婚後も仕事などで旧姓を使い続けることが、かなり広く認められてきている。
だから、女性のアイデンティティーの喪失感はある程度、緩和できているというのだ。

へえー、芸名と似ているかも。

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人それぞれに事情がある
しかし、最高裁のなかでも、その理由に納得していない裁判官がいる、と谷津は説明する。
最高裁の15人の裁判官のうち、「夫婦は同姓」が憲法違反と5人が判断した。

この5人に、女性の裁判官3人全員が含まれる。
うち1人は、労働省(現・厚生労働省)に勤めていた。

そのころは旧姓で仕事を続けていたが、最高裁の裁判官になってからは、戸籍名を使っている。
裁判所の決まりだからだ。

庄司自身は、夫婦が同姓になってデメリットは感じない。
自分の名字を名乗ってくれているからだろうけれど、奥さんもストレスを感じているようではない。
むしろ、家族の団結力が生まれている気がする。

だけど、確かに人それぞれに事情があり、家族の形は変わっている。
僕の物差しだけでははかれない。
庄司は揺れている。

次回は、9日ごろ配信する予定でしたが、しばらくお待ちください。

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論説委員プロフィール谷津憲郎(やつ・のりお)

 1994年に入社。東京社会部、那覇総局などを経て2015年秋から現職。20年間「おまえの意見なんてどうでもいい。事実をつかめ」と戒められてきたのに、いまや「で、主張すべき論は何?」と問われることに戸惑う44歳。社会部でも「何でも屋」としての遊軍が長く、専門分野を尋ねられるのが苦手です。ただし2回勤務した沖縄は関心事。沖縄国際大ヘリ墜落に走り、仲井真知事の埋め立て承認に嘆息しました。高校生の時、生まれた日には何があったのかと調べたら、翌日の朝刊1面は「沖縄、26年ぶり復帰確定/日米外相が協定に調印」の文字。ふぅ~んと無関心だったあの時の自分に将来を教えてやりたい。

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